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一般的に言えば、「外部と接触する窓に相当する部分は極力狭くし(シールドの強化)、電線の引き込み口の直前に短くEMIフィルタを取り付け、接地も短く太く落す」ことを基本とした対策を積み重ねることに尽きる。入出力線等による伝導が原因となる場合の対策方法として各電線にフェライトコア等の対策部品もよく使用される。その効果に関して、挿入する個数、場所、挿入方法および周波数特性についてもグラフで比較し評価できるよう示した。

特に電線をコアにまきつけるようにループさせることの効果は大きいことを多くの試験例とグラフで示された。さて、伝導無線周波数妨害対策として入出力線にシールド線が良く使われている。このシールド線の接地の取り方の難しさは技術者には良く知られている事実であるが、シールド線への対策にはEMIフィルタよりも高周波電流が吸収されるフェライトコアの使用が有効であることがわかった。

 

12.2 アンケート調査からのまとめ

 

誤作動防止対策について、会員各社等に機器が誤作動した場合の対策事例のアンケート調査の御協力をお願いし、まとめさせて頂いた。

・一般的な指摘として高インピーダンスの部分は影響を受けやすいので改善を必要とする。

・フェライトシートを貼って不要輻射を内部で吸収させてしまう処置が行われている。

・アイソレーションアンプによるアナログ信号入力やフォトカプラによるデジタル信号入力、電源には絶縁トランスによる分離などの対策が行われている。

・どこが影響を受けているのか、どこからどのような形で侵入してくるのか、どこから出ていくのか等、原因究明が重要であり、原因がわかることが対策の決め手となる。

・接地処理は事例毎に異なり、シールド線のアース処理を1点アースにしたら改善することも有る。

アンケート調査では回答してくださった方々の日頃の苦労が伝わってくるものばかりであった。回答に共通することは、アース処理やシールド線の処理は一概に言えないとの回答が多い。

一般的な対策手法は本報告書でも実際に適用した状態の比較結果を示しているが、機器ごとに状態が変るので対策方法も多種多様である。原因を推定、究明しながら一つ一つの原因別対策を根気良く実施し積み重ねて行くことが必要である。その個々の対策が総合的対策への基本解の集合となり、EMC対策全般への解決の糸口となるであろう。その上で妨害対策の効果が上がらない内容について重点的な補強対策を講じることとなろう。

 

12.3 各種の試験所要時間と試験前の準備

 

製品の開発や製造のための生産計画を立てるためには、担当者は各種の試験所要時間の大凡の目安の情報が必要となる。

イミュニティ試験には比較的短時間に計測ができるサージイミュニティ試験と、周波数をゆっくり掃引しながら計測しなければならない伝導無線周波数妨害イミュニティのように所要時間のかかる試験が有る。

 

 

 

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