14. 安全計画の代表的な項目は以下の通り。
A. 任務地における安全概況。
B. 安全担当官名。現地、ジュネーブ、ニューヨークの担当者。それぞれのコールサイン、電話番号、ファクス番号を含む。
C. 国際職員とその扶養者の名簿。定期的に更新する必要があり、1)フルネーム、2)国籍、3)生年月日、4)パスポートとレセ・パセ(国連発行の職員用旅券)の番号(日付と発行地を含む)などの基本事項が記載されていること。訪問視察団の記録を保管する方法も確立する。『国連フィールド安全ハンドブック』の付表とUNHCR緊急事態管理官チェックリストに標準書式が示されている。
D. 国内職員とその扶養家族の名簿と詳細。定期的に更新すること。
E. 当該地域の区画分け。地図に、各区画、職員の数と住居をはっきりマークする。地図には各区画の担当監視員も明記する。
F. 通信。全職員と近隣諸国の事務所の電話番号、コールサイン、無線周波数などの詳細を含む。
G. 連絡・調整センターと集合場所の選定。計画では連絡・調整センターと集合場所の数、これらの場所に用意すべき備蓄と施設を示すこと。全職員が一つの集合場所に行けるとは限らないので、代替施設を事前に明らかにしておく。
H. 移転・撤退のための安全地帯(safe haven)と手段。計画には、あらゆる移動手段(空路、道路、鉄道、海路など)に関する情報を含めること。通常、国外に避難できるのは国際職員のみであり、国連安全システムで、国内職員に国外避難規定が適用されるのは、国連機関に雇用されていることにより身体の安全が脅かされたり、財産の損失・損害を受けたような、ごく例外的な場合に限られる。事務総長だけが、このシステムのもとで、国内職員の国外避難決定を下せる(DOとUNSECOORDの助言に基づく)。ただし、第3、4、5段階では、DOが例外的に、a)現地採用職員に特別有給休暇を与え、任地から離れる許可を出したり、b)国内の安全な地域に移動させ、給与30日分までの支払いを認めることができる。しばしば最長3カ月分の給与前払いと、職員と家族の交通費をカバーする給付金が支払われる。現地採用職員へのこうした各種支払いの手配を計画に含める。
I. 必需品。 計画には、相応の期間内に職員全体が必要とする食糧、水、燃料など必需品のニーズが見積もられていること。パスポート、レセ・パセ、ワクチン接種証明書、トラベラーズチェック、現金など、手元に準備しておくべき品目もリストアップしておく。
J. 事務所の運営を、国内職員に引き継ぐ計画。
撤退の計画立案
15.
安全計画には、撤退することになった場合のUNHCR事務所内での各自の役割を記載しておく。
1)機密書類と個人情報ファイル(コンピューター上のファイルも含む)、2)財務データ、3)現金、4)無線機、5)コンピューター、6)車両の処理方法、を含める。
16. 個人情報ファイル、地元職員の人事ファイルなど、事務所を急に撤退する場合に破棄すべき文書ファイルには、全職員が了解済みである印をつけておく。時間があれば、ファイルをシュレッダーにかけるか焼却することが最優先事項である。焼却する時間がない場合は、機密ファイルの中味を床にぶちまけ他の文書とごちゃまぜにすれば、文書を守れる可能性がある。職員は安全状況に配慮するとともに、書類や電子文書を作成する時は、事務所に残していかなければならない可能性があることに留意する。