6. DOは安全問題について助言するSMTを組織する。SMTは通常以下のような人員(personnel)により構成される。1)DO。2)フィールド安全担当官。3)医療担当官。4)地元の情勢と言語に通じた国際職員。5)法律関係の経験がある職員。6)訓練・経歴・経験上チームに貢献できる職員。
7. 国土が広いため、緊急事態にある地域が本部から遠く離れている場合は、国連職員が地方安全調整官(ASC = Area Security Co-ordinator)に任命される。ASCはDOの代理役を果たし、職員の安全についてDOと同じような責任を負うが、担当領域は当該地方に限定される。UNHCRは、この任務を引き受けるようDOから要請される場合がある。
8. ASC(当該地方にASCがいない場合はDO)は、決められた地帯の安全を担当する安全監視員を任命する。国内職員と国際職員それぞれにつき監視員システムが必要となる場合もある。このシステムは、すべての人道機関を網羅するように作る。
9. 安全準備態勢を整える上で最大の手段は、国連安全システムの大きな特徴である安全計画である。
◆必須計画
10. 基本的な安全計画に加え、UNHCR事務所は医療撤退計画を持つと共に、場合によって移動管理計画と無線(radio)による定期連絡も必要だ。
安全計画
11. 安全計画は国ごとに異なり、5つの段階がある。DOは、第1段階と第2段階では現場の判断に基いて対策を実行し、国連事務総長に報告する。第3〜5段階では、通常、事務総長の事前承認がある場合のみ宣言できる。ただし通信が遮断された場合、DOは、第3〜5段階においても裁量的に判断し宣言ができ、通信が回復次第、事務総長に報告する。
12. 国連の安全段階は以下の通り。
第1段階 予防
移動に際してDOの許可が必要となる。
第2段階 限定的な移動
国連職員とその家族の移動に対して高いレベルの警戒体制が取られる。別段の指示がない限り、全職員とその家族は自宅で待機する。
第3段階 移転
DOの助言に基づき事務総長が宣言する。全国際職員とその家族を集結させ、必要最低限の職員以外の職員と、家族は国内外へ移動させる。新たに職員を送り込む場合は事務総長の承認が必要となる。
第4段階 計画中断
DOの助言に基づき事務総長が宣言する。緊急事態事業や人道救援事業、安全問題に直接かかわっていない全国際職員が国外へ移動させられる。
段階5 撤退
DOの助言に基づき事務総長が宣言する。事前に立てられた計画に従って、全国際職員の撤退が実施される。
13. 各地の安全担当者(DO、ASC)は、各国での安全計画の枠組み内で計画を立て、定期的に更新する。状況はそれぞれ異なるので、計画のレベルや構造も異なる。計画策定の手引きは、『国連フィールド安全ハンドブック』のほか、『緊急事態管理官チェックリスト(Checklist for the Emergency Administrator)』にも収録してある。