14. 通信網に関するニーズが分かり次第、本部通信課か地域通信担当官に連絡すること。事務所の数、位置、事務所間の距離について計画案を知らせ、どのような装置が必要か判断する材料を示す。
15. 無線局の設置と利用周波数については必ず認可を受けること。ほとんどの国に政府の標準申請書がある。短波(HF)と超短波(VHF)の場合、UNDPなど他の国連機関がすでに周波数の利用許可を受けているかを確認する。政府申請書の作成については、本部通信課か地域通信担当官から助言を受けることができる。
16. 衛星通信機器の設置時も認可が必要となる。国の監督当局は、利用周波数や装置の特性について情報を得る必要がある。この情報も地域通信担当官か本部通信課から得られる。
事務所の建物
17. 事務所を選ぶ際、通信機器の物理的条件に配慮する必要がある(第20章参照)。無線アンテナを設置するには、建物の屋上か地上でのスペース(space)と、アンテナのごく近くに無線機器を設置した部屋が必要となる。機器を最大限有効に使うには、アンテナと無線機器を結ぶケーブルはできるだけ短く、もし可能であれば50メートル以下にする。
18. VSATを設置する時は、特に赤道の方角(つまり北半球では南、南半球では北)に障害物があってはならない。地上に設置するVSAT用パラボラ・アンテナの角度は事務所の緯度によって違い、赤道上では真上を向くことになる。建物の上(平らな屋根など)にVSATを設置する場合は、VSATの重量に耐えられる強度の建物でなくてはならない。地上に設置する場合は、人が送信アンテナに近づく危険を避けるため、アンテナの周囲に十分なスペース(半径4メートル)が必要となる。
無線機器
19. 通常、UNHCRがフィールド事業で音声・データを送信する時は、HF無線とVHF無線の2種類の無線機器を使用する。
20. 一般に、HFはVHFより長距離の通信に使う。VHFの有効通信距離は、中継器(リピーター)を設置すると大幅に拡張できる。したがってVHFとHF無線機器は、搭載車の基地局からの予定走行距離によって、事務所と車両に適宜設置する。
無線コールサイン
21. 無線機器は設置後それぞれ独自のコールサインをもつことになり、事務所は「基地局」、車両は「モバイル(移動局)」になる。論理的に参照できるようコールサインの決め方について正式なルールがあると便利だ。例えば、ある文字は事業実施国を示し、別の文字は位置を示し、次の文字は関係機関を示す、というようにする。当該通信網の利用者が多い場合は、より詳細な情報を示す文字と数字を追加することもできる(事業が2カ国以上で実施されるのでない限り、通常、国を示す文字は省かれる)。
22. 例えば(架空の国)ルリタニア国タウンビル(Ruritania, Townville)のUNHCR事務所に無線機器が設置された場合、コールサインは(R)TH Base、または国を示すRを省略してT H Baseと示される。同事務所の車両に無線機器が設置されると、(R)T H Mobile 1、T H Mobile 2などとなる。