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通信のインフラ

10. 当事国のインフラが不十分または破損していて、既存の通信インフラではUNHCRの要求を満たせない場合がある。治安が悪いために、しばしば通信施設が閉鎖されていたり、ほとんど機能していない状況もある。(この場合、携帯電話の使用も不可)。

 

11. UNHCRは、緊急事態の発生後すぐに配備できるよう、あらかじめ準備された通信機器を持ち、遠隔地の緊急事態対応職員も、すぐに通信網にアクセスできるようになっている(付録1緊急事態対応資源カタログを参照)。

 

通信の形態

12. 現在UNHCRが使っている主な通信手段は以下の通り。

i. 電話

電話(telephone)は、国内では標準規格の電話線や携帯電話網を使って、また他国とは国際回線や衛星回線(VSATやINMARSATなど。付表1を参照)を通じて通信できる。

ii. ファクス

ファクスは、一般の電話回線や衛星回線(VSATやINMARSAT)で使える。ファクス機器はほとんどの国で入手できるが、電子メールに比べると割高で接続も容易でない。

iii. 電子メール

電子メールも、一般の電話回線か衛星回線を経由して使える。事業の初期段階では、携帯型衛星端末か地元の電話回線(もし使えれば)経由でメールの送受信が可能である。その後、適当な接続ポイントがあればSITAネットワークやDAMA衛星システム(付表1参照)が使える。

iv. 無線

無線(radio)は、音声と文書の通信(電子メールや電子データを含む)に利用できる。免許をもつ技術者が設置する必要がある。UNHCR事務所間やUNHCRと他機関との連絡を確保するために、緊急事態では、ほぼ必ず無線網を設置する必要がある。電話線が切断された場合、無線は本部との通信を確保する緊急用の代替手段ともなる。移動無線機(携帯用または車両装備用)では、現場にいる職員が他の職員や事務所に連絡できる。

v. VSAT(超小型地球局。ただし一番小さいパラボラ・アンテナでも直径1.8〜2.4メートルあり、この呼称にはやや違和感がある)。VSATは、1)電話、2)ファクス、3)電子データ、4)電子メールに利用される。VSATの設置(installation)はかなり難しく、資格のある技術者が必要である。

vi. テレックス

テレックス(telex)は次第に使われなくなってきたが、現在も利用できる場所では選択肢のひとつである。

 

◆UNHCR通信網

 

現地での準備

13. UNHCRの通信網を設けるかどうかは、UNHCR関連事項を担当する省庁(内務省など)の適切な、できるだけ高いレベルの関係者と検討する。技術面の関係当局(通信省や通信サービス当局など)に助言を求めること。「国際連合の特権及び免除に関する条約」第9条は、「国際連合は、その公用通信に関して、当該国における外交使節団に対するのと同等の待遇を受ける」と規定している。

 

 

 

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