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13. すでに小規模な計画が実施されている国で、大規模な緊急事態が発生した場合、少なくとも緊急事態の間は、事務所長をより経験豊富な人物に交替させるのが必要な場合もある。

 

14. 管理運営のための職員も優先事項のひとつである。新しい事務所を開設する場合は、経験豊富な管理補佐職員が欠かせないし、大規模緊急事態では経験ある財務官・人事官が必要となる。こうした技能のある職員がいないと、他の職員がUNHCR内部の管理運営に不要な時間を取られてしまう。国内職員が管理運営にあたる場合は、職員の選定をし研修を受けさせる必要があるが、それにも経験のある監督者が必要となる。

 

15. どの難民緊急事態においても、事態の状況把握・初期段階から、一定の専門技術が必要となる。国内でこうした専門技術が確保できない場合は、速やかにスタンドバイ協定に基づく専門家の採用を本部に求める。協定の詳細は付録1「緊急事態対応資源カタログ」参照。

 

16. 非公式のボランティア(地元住民や外交官・外国人コミュニティのメンバー)が支援を申し出る場合もある。これら外部ボランティアの重要性は状況によってかなり異なる。ボランティア(volunteers)の技能や活動期間、ボランティアの調整・支援に必要な管理職員がいるか、などを把握することが重要である。

適切な管理支援がなければ、ボランティアの存在は、すでに過重労働を強いられている職員にとって助けになるのと同じくらい、あるいはそれ以上の負担となる。

 

命令系統

17. UNHCR事務所のない地域に緊急事態チームが配属された場合、チーム(team)のリーダーが、状況に応じて当該国または地域のUNHCRの代表あるいは特使に報告を行なう。

 

18. UNHCR事務所がすでに存在し、事業を行なっている地域に緊急事態チームを配属する場合は、チームを既存の事務所の人事システムに組み込む。事務所長と緊急事態チームリーダーのどちらが事業責任者になるかは状況、経験、年功で決まる。事業責任者が決まったら、最初から職員全員にはっきりと伝え、責任の所在や命令系統に不明瞭な点が一切ないようにする。

 

管理

19. 緊急事態事業の成功には、しっかりした職員管理、監督、指揮統率が非常に重要である。このことは見落とされがちである。事態初期に関係者が持つ「やる気」は非常に価値があるが、監督者が忙しく、計画立案や組織化、指示、管理(management)、職員への継続的な動機づけができないと、事業の全体像が分からないレベルの職員たちは失望や欲求不満をつのらせていく。

 

20. 

責任、役割、任務は明確に定め、理解させる。

 

職務記述書(job descriptions)は、各人の責務を明確にする最も一般的な方法である。ただし緊急事態ゆえに頻繁に改正される。職務記述書はUNHCR職員にとって重要なものだが、配属された職員(国連ボランティア〈UNV〉、コンサルタント、緊急事態スタンドバイ協定により配属された職員など)や非公式ボランティアにとってはさらに重要だ。できるだけ末端レベルにまで責任を割り当て、必要な権限を与える。権限なき責任は無意味である。

 

 

 

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