「安全かつ尊厳ある」帰還が必要ということは、死傷の恐れがある特に危険な状況では、UNHCRは難民の自主帰還を奨励できないことを意味する。
68. 国連組織のなかでは、主にPKO(平和維持活動)局が地雷の除去問題を管轄している。必要なら、UNHCRは地雷原の調査と境界設定には資金を拠出するが、実際の地雷除去に参加することは異例で、本部の許可が必要となる。従ってUNHCRによる活動の重点は、費用がかからず、難民にとっての危険をすぐに小さくできる地雷啓発キャンペーンなどに置かれる。地雷の危険性については、帰還計画の極めて早い段階から考慮する。
69. 以下の活動を検討する。
帰還ルートと危険性のある帰還地の特定、および地雷調査――UNHCRは、地雷の危険が深刻な地域の正確な情報を集め、難民がそうした地域へ帰還・経由しないよう働きかける。地雷調査は国の仕事だが、UNHCRも出身国でのプレゼンスを通じて得た情報や、庇護国で難民から聞いた情報を提供できる。国連のPKO局には地雷のデータベースがあり、地雷の数、種類、除去の進み具合を国別に収めている。
帰還方法――地雷は、時として計画された帰還方法に影響を与える。地雷がある場合、自力で帰還せず、UNHCRが組織した輸送手段を使うよう、難民たちに奨励する必要が出る場合がある。
地雷啓発キャンペーン――地雷の問題がある場合は、庇護国から出発する前に、情報キャンペーンの一環として地雷警戒キャンペーンを実施し、出身国でも続ける。あらゆる層の難民に伝わるようにし、男性も女性も、警戒キャンペーンの立案と訓練活動へ参加させる。識字レベル、社会での役割、文化にも十分配慮する。キャンペーンの内容は、地雷の存在・外観・危険性、ケガをしない方法、安全な救助手順、警告標示の認知、を含むようにする。
境界設定(demarcation、地雷埋設地帯の表示)と地雷の除去――UNHCRは難民の帰還先と帰還ルートが、国の地雷除去・境界設定計画の優先地域に入るよう取り計らう。帰還民と地元住民に対し、使用されている地雷標識を知らせなければいけない。
主な参考文献
Registration ― A Practical Guide for Field Staff, UNHCR Geneva, May, 1994.
Voluntary Repatriation: International Protection, UNHCR, 1996.
Voluntary Repatriation. Training Module. 2nd Edition, UNHCR, Geneva, 1993.