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帰還したら、帰還民はUNHCRの保護対象ではなくなり、再び出身国の法律下に置かれることも難民にきちんと説明する。

 

出発

51. 登録――付表1に、帰還の意思表明を含む登録用紙のサンプル「自主帰還用紙(VRF = Voluntary Repatriation Form)」を示した。FBARSを使って登録データをコンピューター処理すれば、必要事項が前もって記入されたVRFを作成できる。このようにコンピューター印刷されたVRFには、帰還希望者・世帯に関する必要なデータが記載されており、対象者が署名する。

 

52. 登録抹消――庇護国での援助規模を適切に縮小・調整するため、出身国へ出発した帰還民は、キャンプ・援助関係の記録から登録を外す。

 

53. 出発前の集合――難民居住地から直接帰還できない場合は、実際の移動前に、輸送、宿泊、食糧、基本的な健康管理、必要な管理手続きの秩序だった完了といった特別な手配が通過センターで必要となる。通過センターで登録作業をしたほうが便利な場合もある。

 

54. 組織化された輸送によって帰還を実施する場合に限り、FBARSの帰還モジュールを使ってコンピューターで乗客名簿を作り、帰還民を各車両に振り分けることができる。これによって帰還民の登録をシステムから外し、キャンプの援助対象から外すこともできる。

 

◆帰還途上

 

組織的な帰還

55. 帰還ルート上に、緊急支援施設があるかどうか確認する(医療施設と飲用水の水源)。十分な支援施設がない場合は、休憩、宿泊、食糧配給(調理済み食品または調理設備)、救急医療所、給水所などを備えた一時的な「支援所(way station)」を設置する必要がある。必要とされる支援の形態と程度は、帰還民の移動手段に左右される。燃料の入手可能性や車両修理用の設備も考慮の対象となる。

 

56. 帰還の自主性をモニタリング・確認し、ニーズを評価し、出身国・庇護国の事務所間の調整を図るためには、相当数のUNHCR職員や関係者が必要となる。職員らは帰還民の数、ニーズ、予想される帰還ルートに関する最新情報を伝える必要がある。

 

大規模な自然発生的帰還

57. UNHCRが大規模な自然発生的な帰還を支援する場合も、上記の問題点を検討する必要がある。組織化されていない大規模な移動集団の支援は容易でなく、新たな保護上の懸念も出てくる。その場合、以下の措置を取る。

 

一般的な手配

□ 帰還途上に、移動集団を保護・支援する場所(支援所)を設置または強化する。支援所の場所は、水の利便性と難民の移動手段などを考慮して決める。難民が主に徒歩で移動している場合は、車中心の場合と比べて各支援所の間隔を短くしなければならない。

□ 支援所にはUNHCRの旗やステッカーを付けて、UNHCRのプレゼンスを目立たせる。UNHCR職員(特に移動チームの場合)であることがはっきり分かるようにすること。

□ 帰還ルートの担当区域をUNHCR事務所同士で決める。

□ 支援所に一時駐在するUNHCR職員を支援するため、テントなどの宿泊設備、飲用水、調理済み食品などを手配する。

 

 

 

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