通関手続き
54. 事業用に届く物資は、当局と地元国連機関が通常結ぶ取り決めの範囲をはるかに超える場合がある。外務省や大蔵省、税関当局、空港・港湾当局の上級職員とUNHCRがとるべき手続きを事前に協議することで、問題や遅れを回避し、物資を直ちに通関させることができる。
通関手続きと免税措置については、事前に取り決めを結ぶこと。
55. 以下の機関との取り決めが必要となる。
i. 民間航空管理局(CAA = Civil Aviation Authorities)と空港当局とは救援物資を運ぶ航空機の優先的離着陸・料金免除などを取り決める。取り決めには以下の要素が含まれる。1)領空飛行許可。2)自由着陸権。3)航空管制と駐機。4)航空機の優先処理。5)航空機に対するサービスの料金。
ii. 大蔵省と税関当局とは物資・サービスに対する関税・公税の免除(着陸料の税金部分や燃料税など)について取り決める。大蔵省(とCAA)に、事業のために計画されている空輸について事前に通知する。
56. UNHCRが当該国政府と交わす協力ないし実施合意では、事業に必要な範囲で、全品目の免税輸入を認められるべきである(第8章とUNHCR緊急事態行政官チェックリスト〈第20章付表〉を参照)。緊急事態向けに特別な免税措置と通関手続きを設ける必要があるかもしれない。
実施協力機関の通関
57. 緊急事態事業の目的に見合えば、UNHCRが実施協力機関の救援物資の通関手続きを引き受ける場合もある。これにより明らかに不適切な物資の流入をある程度制限できるし、物的援助の調整もしやすくなる。
58. UNHCRが通関を引き受けるのは、発送前に通知が届いていて、適切とみなされる物資のみであることを、荷主になりうる全員に対しガイドラインとして発表し明らかにする。ガイドラインは、すでに事業で活動中の実施協力機関のほか、現地にきたばかりの新しい実施協力機関にも知らせる。
実施協力機関の通関に関するガイドラインは、事業のできるだけ早い時期に作成する。
こうしたガイドラインを本部にも一部置き、NGOに対するブリーフィングや初期の一般状況報告で、ガイドラインについて言及できるようにする。
取り扱い費用とその他の料金
59. UNHCRに属する物資の通関、取り扱い、保管、輸送、にかかる費用は予算に計上する。実施協力機関が発注した物資をUNHCRが代わりに受け取る場合があるが、この場合、実施協力機関が関連費用を全額負担し、UNHCRは「所有者」や「寄贈先機関」ではなく「便宜上の荷受け人」となる。ただし、物資(毛布、テントなど)がUNHCR事業ですぐに使われる特殊な場合には、UNHCRが輸送費を負担する場合もある。
検査と損害
60. 委託貨物はすべて、到着時に(職員による)目視検査と数量検査を受けなければならない。一部の貨物は、(政府の規則に基づき)政府指定の検閲会社による品質検査を受ける必要がある。
61. 検査(inspection)中に視認できる破損が見つかった場合は、運送用書類にその旨を明記するとともに、物資の受領後3日以内に最終輸送業者に賠償請求を行なう。