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v. 予測不可能な出来事(故障、事故、悪天候、道路・橋梁の修理工事など)に備えた余裕。どれくらいの余裕をみるかは、難民が新たに流入する可能性や、難民所在地の近くに供給の増加に備えた倉庫を設ける必要性など、多くの要因によって決まる。状況が厳しい場合は、積載量を理論値の25パーセント以上増やさなければならないかもしれない。

 

45. 食糧輸送の一例。

i. 対象難民を3万人、毎日1人あたり500グラムの食糧が必要とすると、全員で1日1万5000キログラムつまり15トン必要になる。

ii. トラック1台の積載量は20トン。

iii. 雨季に、入港地から難民3万人用の地方倉庫まで物資を運ぶのに必要な日数は3日。帰路は2日かかる。

iv. 定期メンテナンスのため、一往復につき1日追加する。

v. 路面は、トレーラートラック1台が貨物20トンを運べる状態である。

 

46. トラック1台が20トンの貨物を輸送するのに6日かかる一方、難民3万人が6日間に必要な食糧は90トン。したがって理論的には、同様のトラックが4.5台必要になる。こうした場合、控えめにみてもトラックが最低6台は必要なことは明らかである。

 

47. 巻末の付録2(ツールボックス)に、各種輸送手段の積載量を示した。

 

陸路での人の輸送

48. 帰還事業や、難民を別の場所へ移動するために、人を輸送する時は、後方支援が必要になる。保健サービスとコミュニティ・サービスとの緊密な調整を図ること。弱者のケアと、家族が離散しないよう特に注意する。乗客は必ず乗客名簿に登録し、なるべくリストバンドを身につけさせ、移動時間が長い場合は水と食糧を供給する。トラックの乗降時の安全をはしごなどで確保する。

 

49. 妊婦など医療上の弱者を輸送する場合は、バスや救急車を使うのが望ましい。トラックを使用しなければならない場合は、砂袋を積んでトラックを重くし、運行中の揺れを最小限に抑える。伝染病にかかっている可能性がある乗客がいた場合は、輸送後に車両を消毒する。

 

50. 必要な軽・重車両の数を判断する。含まれる車両は、職員と弱者層を運ぶ8〜12人乗りのマイクロバス、救急車または移動クリニック(仕様については保健職員に尋ねること)、所持品運搬車両、修理作業用車両。

 

51. 輸送隊が必要な場合は護衛を付けるよう計画する。輸送車の前後に護衛車両を配置する。輸送車が短い区間を何度も行き来する事業では、問題・故障が起きた時に備えて、通信機器を備えたパトロール隊の設立を検討する。

 

◆物資の受領

 

◆ 物資の荷受け人名と宛て先の住所を統一し、変更があった場合は本部に知らせる。

◆ 国際的に認められた表示・梱包規格を利用する。

◆ 物資は到着時に検査し、保険手続きを取る。物資はしばしば紛失・破損して届く。

◆ 輸入物資を迅速に処理するため担当の政府当局や適切な運送業者と事前に取り決めを結ぶ。

◆ NGOのために明確な通関手続き(customs clearance procedures)の方針を立て、公表する。

 

 

 

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