ゴミの管理
56. 貯蔵(storage)――ドラム缶は、家庭用のゴミ容器として使える。200リットルのドラム缶を半分に切断して使用する場合が多い。できればフタを付け、底には排水用の穴をあける。10世帯あたり容器1個(100リットル)の割合で置くと効果的とされ、どの家からも約15メートル以内にあるように用地全体に配置する。コンクリート製の構造物をゴミ容器に使うのは、非経済的で非実用的である。完全にゴミを取り出すのが難しく、ネズミ類が繁殖して、ゴミが周辺に散らばってしまうからである。
57. 収集と運搬――ゴミは定期的に、できれば毎日、容器から収集するべきである。都市近郊のキャンプなら、地元のゴミ収集サービスを利用できる。トレーラー付きトラクターは費用がかかるため、最後の手段として、大規模な人口過密キャンプでのみ使用を検討する。通常は手押し車や荷車(手押しまたは動物が牽引)のほうがふさわしい。
58. 処分と処理。
i. ゴミの衛生的な埋め立て処分(管理埋め立てともいう)が最も望ましい。埋め立て地は、住居から十分離れた所に指定し、柵などで仕切る。
ii. 焼却処分は小規模にし、通常、医療廃棄物についてのみ認める。焼却後は毎回、土をかぶせる。
iii. 堆肥化は魅力的な選択肢だが、技術的な知識が必要となり難しい。また、良質の堆肥を作るにはゴミの分別が必要となる。
ほこり
59. 大気中に多量のほこりが含まれていると、目を痛めたり、呼吸器系や皮膚の炎症を起こしたり、食物が汚れて健康の害となる場合がある。最良の予防策は、用地周辺の植生破壊を止めることだ。特に保健施設や給食センター周辺では、道路に水や油をまいたり、交通を規制・禁止するのも有効だ。
◆廃水
◆ 廃水源をできるだけ早く規制・管理し、排水設備を整える。
一般的な考慮事項
60. 環境衛生において、廃水の問題は必ず最初から考慮する。排水設備があれば、水は配水所付近にたまらないし、雨水やさまざまな発生源(トイレ、シャワー、台所など)から出る生活廃水も処理できる。ほかにも水たまりや池をなくせば、病原体媒介生物の駆除に役立つ。
61. 排水設備は、すぐに問題となる場合があり、いったん居住地をはじめとするインフラが整備されてしまうと是正措置が難しくなる。例えば、水源のすぐそばでの洗濯がしばしば問題となるが、スノコや石を使って適切な排水設備のある洗濯場所を設ければ回避できる。
62. 生活廃水を家庭菜園に引く家庭もある。これは推奨すべきだが、共同体の排水システムを妨害しないようにする。
63. 排水設備は、次の場所に優先的に設ける。
i. 給水所(給水塔、蛇口、手動ポンプ)
ii. シャワー、トイレ、洗濯場などの衛生施設。こうした場所からの廃水は、菜園や果樹の灌漑(かんがい)に使うか、吸水溝や排水槽に排水する。
iii. 住居。各家庭では、通常周囲に排水路を作って雨水の流れから家を守っているが、主要排水路に集めて処理することが重要である。