16. キャンプごとに衛生チームや組織を編成する。工具を支給し緊急作業(排泄物・廃棄物処理用の溝や穴を掘る作業)にあたらせる。同時に、保健衛生教育計画を開始し、衛生関連の知識(医療や工事を含む)を十分にもつ職員をリーダーにする。
難民5000人あたり公衆衛生専門家1人、500人あたり公衆衛生補助員1人を採用する。
17. 環境衛生に対する意識向上のための活動と、その関連活動の指揮監督をひとつの機関に任せる。環境衛生教育では、衛生上、人間の排泄物の広がりを防ぐ方法と理由、および家庭での簡単な廃棄物処理方法や衛生対策(家での貯水、寝食の場所、個人衛生など)に重点を置く。まず女性、教員、指導者、生徒らを教育の対象とする。
18. 衛生プロジェクトを成功させるカギは、コミュニティの参加である。そのためには保健衛生教育と意識向上が欠かせない。ただし、衛生的な環境が恩恵をもたらすことをコミュニティと個人に納得させるには、時間がかかるものと覚悟する。従って、診療所や市場の近くに試験的なトイレを設置するといった具体例を示せば、環境衛生計画の大きな助けになる。
19. 難民に工具や基本資材、場合によってはインセンティブ(何らかの報酬)を支給し、自分の生活状況の改善を奨励する。また、少しずつ衛生チームに参加させ、最終的に難民自身が維持・管理の大部分を担えるようにする。
20. 付表2の「資源明細表」は、環境衛生に必要な人材・物的資源のチェックリストとなる。
◆人間の排泄物の処理
◆ 急いで排泄の場所を決め、給水の汚染防止措置を取る。
◆ 文化的・物理的要因を慎重に考慮に入れ、排便後に肛門を洗う・拭くための適切な物、手を洗う施設が利用できるようにする。
◆ 初めは共同のトレンチ(溝)式トイレが必要になるだろうが、ピット(便槽)式トイレのほうがはるかによい。
◆ トイレは夜間も使え、女性や子どもも安全に利用できるようにする。
はじめに
21. まず、ふん便汚染を効果的に防ぐために仕切りを設ける。そのために十分な数の衛生設備を作り、正しく使用させ、清潔さを維持し、悪臭やハエなどの発生源にしないようにする。また、設備は雨が降っても壊れないようにする。
正しく設計・設置されたシステムでも、ずさんなメンテナンスは最大の故障原因となる。
22. 適切なメンテナンスを確保するには、各家庭にトイレを設置するのが一番よい。トイレが壊れると環境汚染につながり、感染症や疾病の危険が高まる。定期的な検査とメンテナンスが必要だ。
トイレは使用が可能であっても、清潔でなければ使われないため、毎日清掃すること。