表1 必要な衛生施設の数と種類

9. 公衆衛生に関する教育の計画では、健全な環境衛生習慣の重要性を十分に強調する。排泄物による汚染と病気(disease)の関係を、全ての人にはっきり理解させる。
成人対象の衛生システムがうまく機能しても、子どもには特別の問題がある。
子どもは、排泄物にかかわる病気の主な被害者であると同時に、下痢を引き起こす多くの病原体を排出する。したがって学校での環境衛生教育が必要不可欠である。
10. 人間の排泄物を封じ込め、ゴミ処理対策をただちに講じる。また、特定の場所に難民が滞在する期間は予測できないから、耐久性の高い施設を同時に設置する。例えば排泄場所を決めたら、すぐにトイレの設置工事を始める。遅くなるほど、難民の従来の習慣(野外での排泄)を変えて、建物やトイレを使用させるのは難しくなる。高温の乾燥気候でも、地面に放置された人間の排泄物は病気を伝播することがある。
11. 共同施設、特にトイレは常時清潔な状態を保つのが難しい。廃棄物管理(特に、運搬と最終処分)は、コミュニティごとに組織化するほうがよい。家庭からの排水には、個人用システムと公共システムを組み合わせる必要がある。生活排水を集める排水路は主要排水路に合流させ、居住地域から離れた場所に流れ込むようにする。
12. 特定の活動(排泄物処理、廃棄物、病原体媒介生物の駆除など)に関する一般基準は参照するにとどめ、状況ごとに主だった社会的・文化的・物理的条件に合わせて修正する。表1は、最も緊急のニーズを数量的に見積もるうえで参考となる基準を示している。
13. 環境衛生計画の進展状況を定期的に調査して、是正措置を取る(付表1「環境衛生調査票」参照。)
◆人材資源(human resources)と組織化
◆ 担当者を任命する。
◆ 5000人あたり公衆衛生専門家(sanitarian)1人と、500人あたり公衆衛生補助員(assistant sanitarian)1人を難民その他から雇う。
◆ コミュニティの参加が、衛生プロジェクト成功のカギとなる。
14. 衛生問題の担当者を緊急事態の初期に任命し、さまざまな実施機関の任務を明確に定める。環境衛生を専門とする機関はそう多くない。
15. 担当者を任命する際は、まず地元に専門家(衛生工学専門の土木技師が理想的)がいるか調べる。地元に専門家がいない場合は、外部からの支援要請を検討する。