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したがって塩素処理は、なんらかの沈殿やろ過を経た後で行なう。塩素処理の効果が現れるには、少なくとも30分かかる。

 

88. 化学的殺菌処理のプロセスは厳しく管理する。特に、毎回処理が終わったら、配水前に残留塩素の検査をする。塩素処理の後、塩素が作用し始めたら(投入の約30分後)、溶液には1リットルあたり0.5ミリグラム(0.5mg/l, 0.5ppm)以上の遊離塩素、すなわちまだバクテリアを殺せるだけの塩素が残っていなければならない。このために必要な塩素量が、通常、汚染レベルの大まかな指標となる。遊離塩素の量が0.5ppmをはるかに上回る場合は水の味が悪くなり、人の飲用には適さないかもしれない。過剰な塩素処理のために水の味が悪くなり人々が浄化処理をしていない水を好むようになっては逆効果である。

 

89. ポケット大の残留塩素計(chloroscope、またはchlorine comparator kit。DPD1法が望ましい)は、残留塩素のレベルを調べるものである。残留塩素計は、2本のチューブでできている。それぞれに一定量ずつ被験水を入れ、色を比較できるようになっている。2本のチューブに入った被験水のひとつに、塩素反応試薬を添加すると着色する(一般的な試薬であるO-トルイジンは避ける。高温気候で分解するうえに、過剰な塩素処理が行なわれた場合は有効な指標にならない)。もう一方のチューブは、基準色のスライドガラスを使って調べる。塩素濃度は、試薬を加えたチューブの色と、一番近い基準色と照合させて直接読み取ることができる。この試験は簡単なので、処理場の係員は全員、この検査法で水質を頻繁にチェックする研修を受けるべきである。水は、塩素処理後、配水までしばらく貯水される場合があること、および残留塩素は時間とともに減少する傾向があることに留意する。そのため安全とされる水を供給するには、浄水場から送られる時点で水の残留塩素レベルが、0.4mg/l(0.4ppm)以上あるようにする。

 

90. 塩素処理設備が機能しない時には、通常、水を供給すべきではない。したがって継続的な給水を確保するために、どの浄水場も予備の塩素処理設備を準備しておく。

 

91. 塩素とヨウ素の浄水剤も利用できるが、難民が多い場合の浄水処理にはまず適さない。保健センターや補助給食センターでの使用は考えられる。

 

 

図2 河川水の利用

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1 DPD=Diethyl-P-Phenylene Diamine(ジェチル-パラ-フェニレンジアミン)。

 

 

 

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