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73. ポンプに計算上必要とされる揚水力は、貯水槽の容量、見込まれる需要、1日の需要の変化によって異なる。故障や新たな人口流入に備えた予備水量も計算に入れておくべきだ。毎日、少なくとも水源が元の水位を回復できるまでの時間、ポンプを止めておく。夜はポンプを使わない。主要な給水システムでは、修理やメンテナンスに備えて必ず代替ポンプを用意する。

 

◆浄水処理(treatment)

(UNHCRのWater Manual第8章参照)

 

◆ 安全な給水にとって最大の脅威は、ふん便による汚染である。

◆ 必要な範囲でのみ浄水処理する。キャンプに多数の難民がいる場合は、飲用水を殺菌する必要がある。

◆ どの浄水処理方法も、ある程度の専門技術、定期的な点検、メンテナンスが必要だ。

◆ 難民緊急事態では、飲用水の物理的・細菌学的特性の改善を優先する。極めて特別な場合にのみ、化学的特性の改善を検討する。

◆ 不透明な水や濁水は、塩素処理をしても効果がないので殺菌前に浄化処理が必要である。

◆ 浄水剤(water purification tablets)や煮沸処理は、一般に大量の浄水処理には向かない。

 

はじめに

74. どの水源も、人間向けの供給を決定する前に、飲用水としての適性を評価する。

 

75. 浄水処理の必要がない水源を探すことが重要なのは明らかである。

浄水処理が必要な場合は、適切な技術を使い、信頼できる運営・メンテナンスのシステムを確立し、安全な水を確保する上での浄水処理を必要最小限にする。

 

76. 浄水施設の正しい運営・メンテナンスを確保する。多数の難民がキャンプにいる場合、飲み水の殺菌は必ず必要である。殺菌以外の処理方法は、原水の特性に基づき検討する。

 

77. 大規模な浄水処理の方法は、専門家が決めるのが一番よい。ただし専門家の助けを得る前に、簡単で実用的な措置を取ることもできる。難民緊急事態で利用できる処理方法については、UNHCRのWater Manual第8章に詳細に説明されている。どの処理方法も、定期的な点検とメンテナンスが必要である。

 

78. 水源で水質を保全する物理的な措置と、水源の初期殺菌(通常は塩素を使用)の他に、貯水、ろ過、化学的殺菌法、煮沸という4つの基本的な処理方法がある。これらは単独でも、組み合わせても適用できる。

 

貯水と沈殿(storage and sedimentation)

79. 貯水は、最も簡単な水質改善法である。貯水によって、一部の病原体は死滅し、重い浮遊物質は沈む(「沈殿」)。

容器、タンク、貯水槽内の水をかき混ぜず、そのままにしておくと水質は向上する。

 

80. 浄水処理をしていない地表水を12〜24時間貯水すると、それだけで水質は大幅に向上する。貯水時間が長く、水温が高いほど、水質は良くなる。ただし難民緊急事態では、利用者に供給する前に飲用水を何時間も貯めておけるほどの水量は、まず確保できない。沈殿槽を使う場合は、その容量だけで一日の消費量をまかなえるようにし、一晩かけて沈殿を行なう。

 

 

 

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