日本財団 図書館


◆ポンプ設備

(UNHCR のWater Manual第7章参照)

 

◆ 難民緊急事態では、たいていポンプ(pumps)が必要になる。どういったポンプが適切か地元の専門家の助言を求める。操作担当者や燃料・予備部品が必要なことに留意する。

◆ 配水・浄水処理システムでは、ポンプではなく、できるだけ自然の力(重力)を利用する。

◆ 緊急事態におけるポンプを使った給水法は、長期的かつ効果的な運営を念頭に設計し、その場しのぎの解決策は取らない。

 

66. 適当な水源が決まったら、最低限のニーズを満たす水を貯留・分配する手配が必要となる。

配水システムは、できるだけ自然流下方式を取る。ポンプによる汲み上げ方式より、メンテナンスがずっと安上がりで簡単であるからだ。

 

67. 季節によって洪水の起こりやすい地域、あるいは水源である河川の水位が大きく変わる地域では、ポンプ、配水、貯水、処理システムの設置には細心の注意が必要である。ポンプをいかだの上に設置しなければならない場合もある。

 

68. 水の揚水方法は、基本的にふたつある。水汲み用おけを使って人間が汲み上げるか、(手動またはエンジン駆動の)ポンプを使う方法である。個人の容器を水源に直接入れることは禁止する。ロープ付きの水汲み用おけを設置すれば、汚染の危険は小さくなる。この場合、井戸に据え付ける水汲み用おけはひとつだけにする。おけから各自の容器に水を移す方式のほうが、ポンプより確実ではるかにコストが低い。

需要を満たせるなら、人間が汲み上げる方式のほうが望ましい。ロープ付きおけ1個を備えた井戸の利用者は200人までとする。

 

69. 難民給水システムにおけるポンプ設備の主な用途は、以下の通り。

i. 井戸やボーリング孔から水を汲み上げる。

ii. 地表水の取水口から水を汲み上げる。

iii. 汲み上げた水を貯水池に注ぐ。

 

70. これ以外にも、ポンプ設備を使う場面が出てくるかもしれない。例えば、浄水場への給水、長い配水管の流量の増幅、タンク車への給水などが考えられる。ただしポンプによる汲み上げは最小限に抑えるために、できるだけ流下方式を利用する。

 

71. ポンプにはどれも可動部があり、定期的なメンテナンスが必要である。ポンプの選択と設置については専門家の助言を求める。重要な検討事項は、1)地元でなじみがあるか、2)燃料供給、3)予備部品、4)メンテナンスのしやすさ、5)信頼性。手押しポンプなら、外部の予備部品や燃料に頼らなくていいが、難民緊急事態では、突然大規模な人口集中が起きるため、利用できる水を最大限汲み上げる必要がある。電動ポンプのほうがはるかに出力が大きいため、不可欠となる場合がある。

 

72. 太陽電池を利用したポンプが適切な場合もある。現在入手可能なポンプは、揚水力の割に高価だが、信頼性が高く、直接の運転費もいらない。ポンプは、当然直射日光の下で最も効率よく働くが、薄曇りでも機能する。手押しポンプでは能力不足だが、大型の機械式ポンプは不要という場合は、太陽電池ポンプ(solar pump)が解決策となる場合もある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION