いかに優れたシステムでも、継続的なメンテナンスをしなければ機能しなくなる。
経験のない難民には、教育訓練を施す。
17. 水質管理と浄水処理の効果をあげるには、個人の衛生状態や環境衛生習慣の改善が欠かせない。排泄物による水質汚染の防止や、家庭で清潔な容器を使う重要性を強調する基本的な公衆衛生教育が不可欠である。給水システムは、用地計画や配置設計と綿密に調整した上で設計・構築し、保健・教育・環境対策、とりわけ衛生対策によるサポートが必要となる。
原則として、技術は簡単なものにとどめる。その国に適し、地元の経験を利用した技術を利用する。
ポンプその他の機械設備が必要な場合、(機械設備のための)補給・供給物資を標準化する。
地元で手に入る物資・設備を、できるだけ利用する。
地元になじみがあるか、予備部品や燃料が手に入るか、メンテナンスが簡単か、などを考慮の際の優先事項とする。
18. 給水システム全体の組織的・技術的な側面は、注意深くモニタリングする必要がある。利用状況を管理し、水の浪費や汚染を防止しなければならない。メンテナンスを確実に行ない、技術的な故障があれば速やかに修理する。
◆ニーズ
◆ 需要――1日一人あたり最低15リットルとして計算する。生存上の絶対必要量は1日最低7リットルである。
◆ 水質――公衆衛生保護のためには、極めて清潔な水を少量供給するより、ある程度安全な水を大量に供給するほうが望ましい。
◆ 管理――水は安全でなければならない。新しい水源は、使用前に物理的・化学的・細菌学的に水質を検査し、使用開始後も定期的に検査する。安全でない水が原因で病気が生じたと考えられる場合も、ただちに検査を行なう。
水量
19. 水の最低必要量は一定ではない。気温や運動量によって増える。一般的な目安として、以下の水量が望ましい。
1日の最低必要量
生存上の最低必要量/一人1日7リットル。できるだけ早く15〜20リットルまで増やす。
共同利用分と、新規流入者が来た時のための備蓄分を加算する。
保健センター/患者一人あたり1日40〜60リットル
給食センター/患者一人あたり1日20〜30リットル
20. これ以外にも、家畜、衛生施設、他のコミュニティ・サービス、灌漑(かんがい)、キャンプのインフラ整備用の工事(道路やコンクリート建造物)などでニーズがあるだろう。水の供給が便利になれば、それだけ消費も増える。
21. 質に配慮しつつ、量を優先する。個人が利用できる水の量が減ると、難民全体の健康状態に直接影響する。