各選択的給食計画の終了基準は、図3で示した主な悪化要因をどの程度減らせたか、また、これらの給食計画と、母子保健(MCH = mother and child health)活動や難民社会が提供する他の援助サービスとの統合具合によって異なる。
79. 選択的給食計画の終了後も、定期的に栄養検査を行ない、死亡率・罹患率データを検討して、悪化の兆候を発見する。この作業は全体の状況が依然不安定な場合には、特に重要である。
◆授乳・離乳食と乳製品の使用
◆ 乳児にとっては母乳保育が最適であり、これを奨励してできるだけ長く継続させる。
◆ 哺乳ビンは全面禁止にする。
◆ 適切な離乳食(weaning foods)を与える。外国製ベビーフードや特別食は適さない場合が多い。
◆ 乳児用調合乳は避ける。これは、コップとスプーンを使った厳格な管理下でのみ利用する。
◆ ストレスで母乳の出が悪くなっている場合は、母乳の再分泌を促し10、場合によっては他の母親から「もらい乳」する。
◆ 乳製品、特に粉ミルクや乳児用調合乳は、健康上問題となる場合があり(以下参照)、不適当なことが多い。
80. 母乳は、2歳未満の乳幼児にとって最良かつ最も安全である。母乳は安全で衛生的な栄養源――最初は唯一の栄養源であることが多い――であるとともに、一部の感染症に対する抗体も作る。できるだけ長期間、母乳保育をおこなうよう奨励する。最大限の努力を払って、母乳の分泌あるいは再分泌を促す(病気や栄養失調の母親も含む)。これは経験上、可能なことが分かっている。母乳保育の奨励、そのために必要なカロリー・栄養の補給のために、母親たちには追加の食糧を支給する必要があるかもしれない。これは給食計画を通じて行なう。
81. 乳児用調合乳(調整粉乳を溶かして作る)、離乳食などの製品、哺乳ビンに関わる以下の問題は、難民緊急事態では一層悪化する。1)清潔な沸騰水が不可欠だが、めったに入手できない。2)慎重に調乳すべきだが、量のコントロールが難しい。3)母親の大半が粉ミルクを使ったことがない。4)説明書が外国語で書かれていることが多い。調合乳を利用せざるをえない場合は、厳格な管理と適切な監督のもと保健センターや給食センターで支給する。乳児用哺乳ビンは配給も使用も絶対しない。緊急事態の状況下では、哺乳ビンを消毒して無菌状態に保つことはほとんど不可能であり、使用は危険である。清潔なコップと、必要ならスプーンで乳児にミルクを与える。母乳保育が行なわれている間に、適切な離乳食を平行して導入する。離乳食は、地元で入手できる食物を、できる限り現地の通常の方法で準備する。海外から寄付される缶入りベビーフードは、まず適当ではない。
粉ミルクの使用に関する方針11
i. 粉ミルク自体を、持ち帰り用に絶対配給しない。穀物粉を、粉ミルク1に対し6の割合で混ぜて配給する。
ii. 液体ミルクは、絶対に家庭に持ち帰らせない。
iii. 粉ミルクは油脂や砂糖を混ぜた高カロリーの飲み物として、調理された食事を提供する給食計画でのみ使用する。給食計画は監督下にあることを前提とする。
iv. 脂肪粉乳は常にビタミンAを強化し、6カ月以上保存できるものを使用する。
10 母乳の再分泌を促すとは、再び十分な量の乳が出るようにすることを指す。授乳の機会を増やし、社会的に同じ立場の人から支援を受けることで達成できる。
11 UNHCR IOM 88/89/FOM 76/89 Policy Directive for acceptance, distribution and use of milk products in refugee feeding centres, UNHCR, Geneva.