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40. 穀粒そのものよりも穀物粉を供給する(特に緊急事態の初期)。製粉後の穀物を使えば、かなりの燃料節減になる。穀粒を配給する場合は、現地で製粉できるかを確認し、製粉費用を補償する。

 

41. 必須のビタミン(vitamins)・ミネラル(minerals)の所要量も満たさねばならない。通常、一般配給を通じて支給される基礎食品では、ビタミンとミネラルの必要量を補えない。従って外部の食糧援助に完全依存している集団や、乳幼児、妊婦、授乳婦など弱者層で欠乏症がよく現れる。地元でよく見られる栄養欠乏症にも特に注意が必要である。

 

42. 特定の栄養欠乏症にかかる危険性は、一般配給の内容と、その地域における他の食糧源へのアクセスで予測できる。ビタミンとミネラルの供給方法として、以下が考えられる。

i. 生鮮食品の提供。

ii. 野菜(vegetables)と果物の生産促進。

iii. 配給品に、特定のビタミンや微量栄養素を多く含む食品、例えば強化穀物、混合食品、調味料などを加える。

iv. 最後の手段として、錠剤タイプの栄養補給剤を支給する。

 

43. 難民には、できるだけ野菜の栽培を奨励する。難民が生鮮食品を生産すれば、食事が改善され多様化するだけでなく、燃料を節約し、ある程度の収入を得る機会も得られる。広めの区画と、適切な種子を支給すれば促進できる。しかし滞在期間が分からないことや、農地へのアクセスの問題から、栽培の奨励が難しい場合もある。

 

食糧の配給

44. 公平、効率的、定期的な食糧配給(food distribution)の必要性は、いくら強調してもしすぎることはない。この点は第13章で詳述した。配給方法には二種類ある。乾燥配給食と調理済みの配給食である。

 

45. 乾燥配給食(家庭に持ち帰る食事)は、調理済みの配給食より大きな利点がある。好きな時間に家族が食事の準備をし、家族単位での食事を続けられ、文化的・社会的にも受け入れやすい。伝染病に感染する危険も減らすこともできる。

 

46. 調理済みの配給食の場合は、適当な調理用具、水、燃料(家庭で調理する場合よりも必要量は少ない)を備えた給食センターと、訓練を受けた調理人が必要となる。難民は通常、配給場所で一緒に食事をとるが、料理を自宅に持ち帰れる場合もある。毎日少なくとも2回の給食が必要である。

調理済みの配給食は、効率良く準備するのが乾燥配給食よりはるかに難しい。人数が多い場合はなおさらである。

したがって難民全員を対象とする給食は、難民が適切な水や調理用燃料を使えなかったり、危険な状況にあるなど、例外的な状況でのみ行なわれる。

 

47. 調理なべ、燃料、調理器具のほかに、難民は、配給食品を保護・保存する容器や袋を必要とする。これには油の缶や穀物の袋が使えるので、少なくとも初期の配給では、供給業者が容器・袋の返却を求めない契約を結んでおく。

 

 

 

 

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