◆ なじみのある食品を供給し、伝統的な食習慣を維持できるよう最大限の努力を払う。
◆ 脂肪分の摂取量が、配給される食物エネルギーのうち最低17パーセントを占めるようにする。タンパク質(protein)摂取量は、総エネルギー量の最低10〜12パーセントにする。
◆ 食事はビタミンとミネラルの必須量を満たさなくてはならない。
◆ 地元でよく見られる栄養欠乏症には、特に注意する。
一般配給
35. なじみのある食品を供給し、伝統的な食習慣を維持できるよう最大限の努力を払う。配給(ration)の量や内容について専門家のアドバイスは不可欠であり、食品が地元で入手できるかどうかも十分に考慮する。すぐに手に入るからといって、主食をなじみのない食品に変えてはならない。不適切な食糧は捨てられたり、難民の意欲低下につながりがちだ。
36. 最も重要なのは、カロリーとタンパク質の所要量を満たすことである。開発途上国における緊急事態の初期において住民ひとりが1日に必要とする平均的な最低エネルギー量は2100キロカロリーである。これが計画を立案する際の目安となる。これを満たす配給例を付表1に示した。この数値は、年齢の異なる男性、女性、子どもを含む平均的な集団をもとに算出した。ただし配給はすべての難民に均等に行なう。
計画立案では、開発途上国における緊急事態で難民が1日に必要とする食物エネルギー量を、少なくとも1人あたり平均2100キロカロリーとする。
集団の大部分が活動的な成人の場合は、平均エネルギー摂取量はかなり多くなる。また、寒冷地では、高カロリー食品の配給が極めて重要である。
37. 事態が安定し7詳細なデータが入手できるようになったら、1日のエネルギー所要量を調節できる。以下の要素を考慮する。
i. 集団の年齢別・男女別構成
ii. 活動レベル
iii. 気候条件
iv. 健康・栄養・生理的状態
v. 他の食糧源へのアクセス(農業・取引・労働など)
38. 配給される食糧には、以下を含める。主食源(穀類)、エネルギー源(油脂類)、タンパク源(マメ科作物、混合食品、肉、魚)、塩、できれば調味料(香辛料など)。必須微量栄養素を摂取できるよう、生鮮食品も加える。配給食物の総エネルギー量の最低17パーセントを脂肪から、また最低10〜12パーセントをタンパク質から摂取できるようにする。
39. 特定の食品が入手できない場合、最大1カ月間は入手可能な食品で代用し、適量のカロリーとタンパク質を確保する。この場合、代替品をエネルギー価で比較すると以下のようになる。
豆類の代わりにトウモロコシ・大豆混合品(CSB = Corn Soy Blend) 1:1
油脂の代わりに砂糖 1:2
豆類の代わりに穀物 1:2
油脂の代わりに穀物8 1:3
例えば、砂糖20g分のエネルギーは植物油10g分に匹敵する。
7 詳細は以下を参照――WFP/UNHCR Guidelines for Estimating Food and Nutritional Needs in Emergencies, 1997.
8 一方向のみ。油脂は穀物の代用とはならない点に注意。