◆栄養に関する状況把握
◆ 栄養に関する状況把握は、経験豊かな栄養士ができるだけ早く実施する。
◆ 栄養に関する状況把握では、食品を入手・確保できるかどうかのほか、難民の体格・体型にも配慮する。
◆ 定期的な状況把握を行ない、コミュニティ全体の栄養状態をモニタリングするとともに、特別なケアと食糧援助が必要な個人・集団を見つける。
◆ 栄養失調者の割合のほか、死亡率や罹患率に関する情報も集め、栄養失調の背景的な原因を把握し、最も深刻な症状の人々を見つける。
はじめに
23. 難民の栄養状態についての最初の状況把握は、経験豊富な栄養士ができるだけ早く実施する。栄養失調の規模の把握は、緊急事態への対応方法に大きな影響を与え、配給される食糧の内容や追加的な選択的給食計画の早期決定につながる。
24. 栄養の状況把握に続き、専門家の監督のもと定期的な栄養調査を行ない、集団全体の状況をモニタリングする。
25. 最初の状況把握や定期調査の結果、選択的給食計画が必要と判断される場合、計画の対象者を確認・登録する必要がある。そして各対象者の症状の推移を、給食センターの定期測定でモニタリングする。
26. 難民全体を対象とした初期の状況把握とその後の定期的な栄養調査では、子どもを無作為に選出して身長・体重を測定する方法で実施する(以下参照)。最初は、こうした調査を2〜3カ月ごとに、事態が安定したら、半年〜1年に1度実施する。こうすれば栄養状態の変化や傾向を発見し、援助計画を適切に調整できる。
栄養失調者の割合が15パーセントを超えているか、10パーセントを超えさらに悪化要因(伝染病など)を伴う場合は、重大な栄養上の非常事態であり、緊急措置が必要である。
栄養失調の認定と測定
27. 栄養失調(malnutrition)は、臨床的兆候(浮腫〈ふしゅ、oedema〉や微量栄養素欠乏症など)や人体測定法(身体測定)から発見できる。体重/身長値などは栄養状態の客観的評価で利用され、ある時期の栄養状態を数値化することにより長期的な推移を観察できる。
28. 死亡率と罹患率が分かれば、栄養失調の背景的な原因が把握でき、重症者発見の助けにもなる。子どもの死亡率は特に重要である。
緊急事態における子どもの高死亡率は、栄養失調者の割合と連動している場合が非常に多い。
深刻な栄養失調状態の子どもの死亡率は、同じ集団内の、健康で栄養状態の良い子どもの約6倍〜10倍になるケースもある。
29. 子どもの体重/身長値(weight-for-height=W/H)は、集団の栄養状態を評価・モニタリングする上で最適の指標である。子どもの実際の体重を、同じ身長の健康な子どもの標準体重に対する比率、すなわちZ値として計算する。これは深刻な栄養失調を示す最も精度の高い指標であり、栄養調査や給食計画による一人ひとりの症状の変化を測定するうえで好ましい方法である。通常、栄養調査の対象となるのは6〜59カ月(5歳未満)の幼児だ。