17. 女性、子ども、危険な状態にある集団のニーズには、特別な配慮が必要となる。受益者、特に女性の意見を求める。食糧援助計画案では、配給食糧の調理が環境に与える影響を最小限に抑える必要性にも配慮する。
調整
18. UNHCR調整官(coordinator)を食糧・栄養問題の担当者とする。小規模事業では、計画担当官かロジスティクス担当官を食糧調整担当にできる。初期段階においてUNHCRの内部で技術専門家がみつからない場合は、政府の栄養専門家や国連機関やNGOに支援を求める。
19. 食糧・栄養調整官(food and nutrition coordinator)の任務は、1)一般食糧配給の手続きなど標準的な手続きの確立 、2)給食計画の調整、モニタリング、評価 、3)コミュニティ・サービス、保健その他の分野との緊密な調整と統合。調整官はWFPやNGOとの調整責任者にもなる。調整官自身が栄養の専門家でない場合は、必要かつ専門的な助言ができる経験豊富な栄養士も必要となる。
難民の役割と栄養教育
20. 配給計画の組織化と管理には、難民が最初から参加しなければならない。難民には特別な教育訓練が必要となる。
21. なじみのない食品や新しい調理法が避けられない場合は、難民に対する簡単な栄養教育が欠かせない。これは栄養教育活動と関連させて計画し、以下の指導をする。乳幼児への適切な給食方法、病気の子どもの給食、下痢の治療、基本的な食品衛生、入手できる食品で最大の栄養効果が得られる調理法など。
調理用燃料
22. 調理用燃料の供給と、キャンプ付近の天然資源の管理・取り扱いには、特別な注意が必要となる。これを怠ると、たちまちキャンプと周辺の植生破壊につながり、環境に長期的な被害を与える。難民と地元住民の健康・福利に直接影響し、地元住民との摩擦原因にもなる。燃料の需要・消費量は大きく変動する3。以下の要因が燃料の使用量に影響する。
i. 下ごしらえ、調理技術、燃料の種類と準備。豆を調理前に水に浸す、なべには必ずフタをする、たきぎは必ず乾燥させ割っておく、調理が済んだら火を消す――これらすべては、かなりの燃料節減となり、環境意識の向上・教育計画にも組み込める。フタ付きなべを支給すれば、燃料の有効利用を促進できる。
ii. コンロの種類。地元の技術を利用して木や木炭を燃料にするコンロを改良し、燃料効率を向上できる可能性がある。地元の技術で簡単な改良にとどめるのが最良の方法である。新しい技術が受け入れられるかどうかは、技術自体の有効性より、社会的・経済的影響によって決まる。改良コンロの普及活動と使用には、難民が密接に参加しなければいけない。
iii. 食糧の種類。収穫されたばかりの食品は調理時間が短くてすむ。穀類は製粉や調理済みの食品を使えばかなりの燃料節減になる。配給される食糧の内容が環境に与える影響については、WFPと検討する必要がある。
iv. 燃料の入手(または「価格」)。これは多くの場合、ひとりあたりの燃料消費に最も影響を与える要因だ。たきぎの供給と難民キャンプ周辺の天然資源利用の取り扱い・管理については、第12章に詳述した。
3 燃料木材の1日1人あたりの平均消費量は難民キャンプによって異なり、0.9kg〜4kgであった。