紹介先の病院は、緊急の産科・外科の処置、重病者の治療、検査とレントゲン検査を行ない、国の防疫計画(TB、ハンセン病、HIV/エイズ)を実施・支援する。
81. 紹介サービス(referral services)が必要な患者の割合はわずかである。通常は、地域、地方あるいは全国レベルの国立保健施設間での紹介体制が整えられている。最寄りの国立病院に紹介するのが理想的である。すでに体制が整っているなどの利点がある。
保健計画では、保健紹介事業が行なう難民への救援に対する補償をする。
82. 病院は資金や物資面――テントの設置、保健職員の補充、医薬品、物資、食糧など――の援助を受け、必要に応じて拡張または支援されるべきである。地元の病院に患者が殺到しないように注意する。地域や地方の医療当局者との緊密かつ直接的な調整が欠かせない。
83. 保健省の後援のもと協力機関同士で合意を結び、患者一人あたりの1回の治療費用や現物支援(食糧や医薬品)など、援助条件を明確にする。不必要な議論を避けるため書面合意が不可欠である。
84. ごく限られた場合には、難民専門の病院が必要になるが、これはできるだけ避ける。難民専門病院の設置は既存の、または機能を強化した国立病院ではニーズを満たせない場合に限られる。難民の数が非常に多かったり(地元住民よりはるかに多い場合)、最寄りの国立病院までの道のりが遠すぎる時、また治安上の問題がある場合などが挙げられる。難民専用の現地病院を設置または獲得する際は、事前に供給・輸送課と保健・地域開発課に相談する。
85. 病院での治療や紹介について、どのように取り決めるにせよ、紹介先の病院との間に適切な交通手段が必要である。病院は、患者の親類のニーズに応えたり、幼児には親が付き添うための設備を用意する必要がある。
86. 紹介に関する取り決めでは、保健センターから紹介された患者のみを診察するよう定め、難民が紹介なしで直接病院を訪ねないようにする。
87. 難民緊急事態では、通常、多数の負傷者は出ない。負傷者が多い場合は、迅速に外科設備を整える必要が出てくるが、これは通常、速やかに入手できる。予めセットにしてある(高価な)手術用キットが、すぐに供給・輸送課から取り寄せられる。
88. UNHCR保健調整官は、紹介とその後の治療活動や追跡検査が記録できるシステムを確保する。
◆人材資源(human resources)と調整
◆ 保健サービスの整備は、ただ単に難民のために行なうのではなく難民と一緒に、難民のニーズや要望に沿って立案しなければならない。
◆ 適切な経験を積んだ保健調整官を、早期にUNHCR職員に任命することが非常に重要となる。リプロダクティブ・ヘルス担当者も、できるだけ早く決める。
◆ 地元の専門知識・技術の利用は望ましいが、緊急事態では外部援助の動員が必要な場合も多い。
◆ 職員の給料と奨励金・物は最初に検討し決めておく。
◆ 地元の保健省の各部署ができるだけ緊密にかかわる。
難民
89. 難民の健康は、難民自身に責任をもたせる。