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17. さらに、患者には健康記録カードを発行し、受診日、診断内容、治療内容を記録する。治療、予防どちらが目的でも、保健システムの利用ごとに本人の健康記録カードに記入する。

 

18. 健康情報システムは定期的に評価しなおし、正確、完全、平易、柔軟、そして時宜を得ているかを確認する。計画立案者と主な意思決定者がどのように情報を使っているかも調べる。システムは、必要とされる情報内容の変化に従い発展させる。

 

19. 問題点の発見後、予防措置や是正措置をとったり、資源配分の調整を可能にするには、キャンプ、そして健康・栄養状態を集約的にモニタリングする制度が必要となる。公衆保健サービスが適切に機能し始め、難民が新しい環境に慣れていけば、難民の健康状態も改善するはずだ。

 

20. ただし、十分な監視システムは維持しなければならない。季節の変化(気温の変化、特に雨季)は健康に影響し、病気の発症率も季節によって変わる。UNHCR担当官と政府や実施協力機関の担当官は、以下についての責任を負う。監視体制の質、必要なデータ、データの分析者、分析結果への対応措置、対応結果の関係者全員への通知。

 

死亡率

21. 難民集団全体の状況を示す最も重要かつ具体的な指標は、全人口の粗死亡率(Crude Mortality Rate = CMR、概算の死亡率)と、5歳未満児の死亡率(U-5MR = Under 5 Mortality Rate)である。両指標は事業管理者にとって非常に重要であり、報道機関、拠出国、救援機関も大きな関心を寄せる。死亡率についての信頼に足る情報の作成は、健康監視システムの優先項目のひとつである。

 

22. 緊急事態の段階では、死亡率は、人口1万人あたりの1日の死亡者数で示し、急激な変化を発見できるようにする。

CMRは、1万人あたりの1日の死亡者数である。計算方法は

(死亡者数×10,000)÷(日数×総人口)

 

23. 緊急段階では、できるだけ早期にCMRを1日1万分の1未満に、U-5MRを1日1万分の2未満にすることを援助計画全体の目標とする。この数値はほとんどの途上国において、避難民ではない一般住民の「通常」のCMRとU-5MRの約2倍であり、この目標を達成したからといって努力の手を緩めない。

 

24. 年齢別・男女別の死亡率は組織的に収集する必要があり、結果によっては集中的な介入が必要となる。表1は、1日あたりのCMRについていくつかの基準を示した。5歳未満児の死亡率の基準は通常、一般のCMRの2倍である。

 

表1 CMRの基準

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罹患率(病気の発生率と発生の種類)

25. 病気の主因と、最も危険な状態にある集団が判明すれば、効率的な計画と介入方針を立て、資源を最も有効利用する助けとなる。病気の発生率は特定の病気について、一定期間に生じた新たな患者数で示し、通常1000人あたりの数値を使う。

 

 

 

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