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モニタリングと監視――健康情報システム

9. 健康情報システムは、緊急事態のごく初期段階からUNHCR保健調整官(health coordinator)の責任下に置き、簡素で信頼性があり、すぐに行動のとれるシステムにする。同システムの利用は以下の作業に不可欠となる。

i. 難民の健康・栄養状態を数値化する。

ii. 健康状態の推移を追い、救援計画の効果と結果をモニタリングする。

iii. 伝染病を発見する。

iv. 計画の有効性とサービスの提供範囲を調べる。

v. 最もニーズが大きい領域に、資源が確実に向けられるようにする。

vi. 必要に応じて計画を修正する。

 

10. 付表1に、健康関連の情報を収集するための表と書式を示した。ただし、状況を包括的に把握するには、水、食糧、衛生、住居、石けんが入手可能か、といった情報も収集・分析する(水、栄養、衛生、施設計画に関する各章を参照)。

 

11. 健康情報システムは簡素なものにする。集める情報は、情報収集者の能力に合わせる。過度に詳細または複雑な情報を求めようとすると、正しい報告にならない。また、対応が可能なデータのみを集める。システムを機能させるためには、関係者全員の連絡と意見交換が不可欠となる。

緊急事態では、簡素な方法だけが有効に機能する。

 

12. 緊急事態の初期は、以下の健康情報に重点を置く。

i. 人口統計(第11章本章第4節付表1の表1参照)

ii. 死亡率と死亡原因(付表1の表2.12.2と本章第14節参照)

iii. 栄養状態(第15章の付表45参照)

iv. 罹患率(本章第14節と付表1の表3.1参照

 

13. 健康情報システムをより包括的にするのは、事態が安定した時に限る。死亡率と罹患率は、以下の方法で調べる。

 

死亡率

14. 各保健医療施設が、死亡患者全員について、死亡原因と関連情報を記録する。この情報は付表1の表2.1と2.2にまとめ、中央に報告して他のデータと統合する。死者の多くは保健管理制度の及ばない所で出るので、コミュニティごとに死亡者数を監視する体制も確立する。この体制により人々が墓地にしている場所を確認し、24時間体制の墓守を置き、埋葬布を定期的に支給し、コミュニティの情報提供者を使う。病院(hospitals)以外の場所で原因不明の死者が出た場合は、特別な訓練を受けたヘルスワーカーが関係者に死亡原因などを聞き、死亡を確認する。

 

罹患率

15. 外来患者を受けつける保健施設(5歳未満児向け診療所と特定の給食計画を含む)は、毎日記録をつける。記録は、診療日誌または少なくとも計数記録の形をとり、最低限、患者の氏名、年齢、性別、臨床診断と病理診断の結果、治療内容などを記録する。これらの情報は、付表1の表3.1の書式にまとめて中央に報告する。

 

16. 健康情報システムに病気(disease)を記録する時は、症例の定義(基準となる症状の記述)が必要となる。これはヘルスワーカーが診断する際の手がかりとなり、データの整合性と有効性も確保する。症例の定義(例えばマラリア)は、臨床的な徴候や症状をもとにしているから、できれば検査室での標準検査(例えばマラリア用の血液検査)と照合する。

 

 

 

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