◆健康状態の把握、計画立案、モニタリング、監視
◆ 健康状態と栄養状態の把握は、保健サービスの開始時に必要不可欠である。
◆ この現状把握の作業は、緊急事態の経験があり、できれば現地の知識がある専門家が行なう。
◆ 難民の健康に影響を与える様々な要因を特定し、監視・報告システムを確立する。
最初の状況把握
4. まず、年齢別(5歳未満児の割合)と性別(男女の割合)に難民の数2を調べる。難民の総数の推計方法については、第11章を参照。
年齢別/男女別の内訳は、以下の情報から推測できる。
i. 事前調査で集めた情報。
ii. 集団予防接種の過程で集めた情報。
iii. 到着時の集団検診。
iv. コミュニティ・ヘルスワーカー(community health worker、地域保健普及員)が集めた情報。
5. 最初に行なわれる健康状態の把握調査の目的は、基本的な問題点やニーズを発見し、優先項目をはっきりさせることである。これは適切な資格と経験のある人が実施する。国内または地元の人員を使えれば良いのは当然だが、必要ならば外部の専門家も本部の保健・地域開発課を通じてすぐに要請・配備することができる。
6. 極めて高い死亡率や罹患率の主因となる、はしか(measles)、下痢、肺炎、マラリア、栄養失調の発祥・原因調査を最優先する。
7. 必要な情報を得るための方法。
i. 診察。
ii. 出身国/地と庇護国/地に関する基礎情報の検討。
iii. 保健施設の記録調査と、ヘルスワーカー(health worker、保健普及員)からの聞き取り調査。
iv. サンプル調査の実施(栄養状態と死亡率)。専門家が行なうこと。
v. 人口推計と登録(第11章参照)。
vi. 到着時の集団健康診断と栄養検査。以下に重点を置く。i)目視検査と二の腕の太さの測定による栄養検査(Mid-Upper Arm Circumference = MUAC、第15章参照)、ii)伝染病とワクチン接種率の確認、iii)専門医などへの緊急紹介が必要な患者の特定。集団検診中の治療は、実際は不可能である。
8. 図2では最初の状況評価についての管理運営者の主な検討事項を表に示した。
2 保健医療の専門家は、この数値をdenominator(分母となる人数)と呼ぶことがある。