87. 安全上の理由から、放射式ストーブより対流式ストーブのほうが好ましい。燃料が簡単に入手できない場合もあるので燃費は非常に重要となる。燃料の供給が輸送計画(ロジスティクス)の大きな問題となる場合もある。初期段階で定期的な燃料供給の問題を見過ごすと、環境上、極めて大きな影響を与える可能性がある。
◆一時受け入れ/中継キャンプ
88. 一時受け入れ/中継キャンプは、難民に一時的な滞在場所を提供する必要がある時に使用される。難民緊急事態の初期では、適切で安全な長期滞在用キャンプに移るまでの仮の滞在場所として、事業計画の最終段階では、帰還前の集合場所として必要な場合がある。したがって、通常、中間的または短期的な設備である。
89. 緊急事態、帰還事業のいずれに使用される場合も、中継キャンプは2〜5日の短期滞在と、居住者が頻繁に入れ替わることを念頭に設計する。
90. 中継キャンプの必要収容能力は、そこを通過する人の数と滞在期間に大きく左右される。これらは最終到達地の受け入れ能力、または再定着を促進させる能力、事業完了までの予想期間によって決まる。
91. 中継キャンプの場所は、主に以下の基準に従って選ぶ。
i. アクセスの良さ(道路、港、空港)
ii. 水の入手可能性
iii. 水はけの良さ(勾配2パーセント以上)
iv. 十分な衛生環境
92. 中継キャンプは、あくまでも機能本位でなければならず、通常の難民キャンプより相当高い建築基準を満たす必要がある。運営維持は、全面的にキャンプの管理運営者を通じて行なう。特に、宿泊施設と衛生施設の清掃と消毒は、定期的かつ継続的に行なう必要がある。調理済みの食品を支給し、個人による調理は禁止すべきである。したがって中継キャンプには、調理設備、調理の必要のない食事の配給所、および食事用のホールが必要だ。滞在は短期と予想されるので、1人あたりの必要スペースは最低3平方メートルとなる。
93. 中継施設の建設基準は以下の通り。
i. 宿泊施設――バラック、共同家屋(仕切りなし、または、5人のグループ/家族用の仕切り付き)。寒冷地では暖房付き。例えば、85 平方メートルのテントの収容可能人数は約14〜25人。
ii. 衛生設備――トイレ1個につき20人、シャワー1カ所につき50人。定期的・集中的な保守管理が必要。
iii. 給水――1人あたり1日最低7リットルの絶対必要量と、調理、清掃、衛生用に必要な水。
iv. 調理場――500人につき約100 平方メートル。
v. 倉庫――1000人につき150〜200 平方メートル。
vi. 拡声設備。
vii. 照明。
viii. 宿泊地区とは別の到着用区画と出発用区画。
ix. 管理運営事務所と職員の居住設備。
x. 保健施設1カ所。
xi. 治安用フェンス(状況による)。
◆公共建物と共同施設
◆ 公共建物は、より適切な住居を提供するまでの短期的な滞在場所としてのみ利用すべきである。
◆ 最初から、設備と施設の入念な維持を実行する。