管理運営・公共施設
67. 管理運営・公共施設用の建物は、伝統的な作りにし、可能ならば、様々な用途に対応できるよう多目的設計にする。例えば、初期の緊急事態サービス用の建物は、後で学校やコミュニティ施設として利用できるだろう。以下に必要性の高い管理運営・公共施設の種類を記すが、この分類はあくまでも参考にすぎない。できるだけ分散化することの重要性は、すでに強調した通りである。集約型・分散型を問わず、管理運営その他の施設は、男女とも利用しやすいように配置・設計する。
68. 集約する場合が多いサービスと施設。
i. 用地の管理運営事務所
ii. 保健、給食計画、給水、教育などのサービス調整事務所
iii. 保管・貯蔵庫
iv. 初期登録/健康診断所
v. 追跡調査
vi. 治療用食事センター(必要な場合)
69. 分散する場合が多いサービスと施設。
i. 浴場と洗濯場
ii. 補助給食センター(必要な場合)
iii. 教育施設
iv. 社会福祉センター(障害者や保護者のいない子ども向けの施設など。必要な場合)
v. レクリエーション地区
vi. 物資配給センター
70. 集約型サービス施設の立地場所は、キャンプ個別の状況、特に利用できるスペースによって決まる。十分なスペースが確保できる場合は、キャンプの中心に集約型サービスを置けば明らかな利点がある。スペースが乏しい場合は、キャンプの入り口付近に集約型サービスを置くと良いだろう。こうすれば物資を運ぶトラックが人口密度の高い地区を通る必要がなくなり、ほこり、騒音、歩行者への危険など付随的な問題も防止できる。囲われた形のキャンプが避けられない場合も、少なくとも集約的な管理運営サービスは、キャンプの入り口付近に配置する必要があるだろう。治安上の理由から、倉庫は必ず管理運営事務所の近くに置く。
◆住居(shelter)
◆ 難民の住居は、風雨を防ぎ、居住空間と保管場所を確保し、プライバシーと安心感を与える場所でなくてはならない。
◆ もし必要ならば毛布や衣類を供給する。
◆ 難民の住居は、文化的・社会的にふさわしく、難民になじみのあるものでなければならない。入手可能なら、地元の適当な資材を使うのが望ましい。
◆ 住居は季節の変化に対応できなくてはならない。
◆ プレハブ家屋や特製の緊急事態用住居は、費用的にも文化的にも実用的でない。状況によっては、テントが緊急避難所として使われる場合がある。
◆ 難民は、必要な組織的・物資的支援を受け、可能なかぎり自分で住居を建てるべきである。
はじめに
71. 住居は最低限、風雨を防ぎ、居住空間と保管場所を確保し、プライバシーと安心感を与える場所でなくてはならない。住居は、生活状況全般を決定づける可能性も高く、最大の支出項目である。住居のための基本的なニーズは、ほとんどの緊急事態に共通しているが、必要な住居の種類、使われる資材や設計、住居建築の当事者と必要な耐用年数などは、各状況によって大きく異なる。
72. 特に寒冷地や、一日の気温変化が激しい地域では、適切な住まいや衣類がないと健康や栄養状態に大きな悪影響を及ぼす。