日本財団 図書館


◆用地計画――特定のインフラ

 

◆ インフラと公共サービスに必要な面積は、過少に判断されがちである。

 

60. 緊急事態の初期に、必要となる管理運営・公共サービスのすべてを予測するのは難しいかもしれない。適切なスペース(space)が利用可能な場合は、こうしたサービスの将来の拡大に備えて空地を割り当てる。公共のニーズに必要な空間を過少に判断する問題は、広さが限られた用地でよく起きる。

 

衛生

61. 水の確保が用地選びを左右する一方、衛生上の問題は用地設計に大きく影響する。人口密度が高く衛生状態が劣悪だと、難民の健康と安全は深刻な脅威にさらされる。これは無計画に開発された用地でしばしば起きる問題である。用地を再編したり、難民を新たな用地へ移す前に、最低限、基本的な衛生環境(無秩序な排泄の禁止、公共トイレの設置など)を整備する。追加のトイレを作るスペースを十分に確保する。やむを得ず公共トイレを作る場合は、その維持計画を定め、維持のために公共トイレまで道路が引かれている必要がある。

 

62. 用地を新たに建設する場合も、再編する場合も、トイレは1世帯にひとつを目標とする。家族がトイレを管理・維持して初めて、長期にわたる安全と衛生が保証される。家庭用トイレは、家庭用区画内の、住居からできるだけ離れた場所に設置するのが理想的である。

 

給水

63. 可能なら、給水所はどの住居からも100メートル以内、つまり歩いて数分以内に設置する。用地の設計では、援助業務計画の必須要素として配水管網を盛り込む。配水管は地下に埋設されるのが望ましく、人や車の往来その他の活動によって損傷を受けない深さ(40〜60センチ)に埋設する。寒冷地では、霜の影響を受けない深さ(60〜90センチ)に埋設する必要がある。経験上、社会的な結びつきの強い80〜100人の小集団ごとに給水所を作ると、水の浪費が大幅に抑えられ、蛇口、支柱、コンクリート床の破損が減ることが分かっている。給水所も、水はけが良く、清潔に保たれ、廃水は共同または個人の菜園に利用されるようにもなる。

 

64. 給水所から流出する水や廃水は、十分に排水され、最終的には集水壕や庭に流れ込むようにしなければならない。

 

道路

65. 用地への道路、および用地内でのさまざまな区画や施設を結ぶ道路や小道が必要である。用地への道路は全天候型(雨季使用可)で、洪水位より高い位置にあり、水はけの良さが必要となる。用地内の車の通行量が多くなってしまう場合は、歩行者用道路を分ける。すべての建物は、柵も含め道路から約5〜7メートル離し、歩行者と車両の運転者の視界を十分に保つ。

 

防火

66. 建て込んだ地域では、約300メートルおきに30メートル幅の防火帯(建物のない区画)を設けることが望ましい。最小単位(世帯)を基礎に設計されたキャンプでは、防火帯は区画ごとに配置する。これは、菜園やレクリエーション用地として最適であろう。余裕があれば、建物は、倒壊や火事(fire)の際、隣の建物に接触しない程度の距離を置く。したがって建物の間隔は、最低でも建物の高さの2倍以上必要であり、燃えやすい建材(ワラ、カヤなど)を使っている場合は、建物の高さの3〜4倍まで広げる必要がある。風向きも重要な検討事項となる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION