マラリアが存在しない高地出身の難民を、マラリアが風土病である湿地帯に居住させれば悲惨な結果を招きかねない。
植生
37. 用地には、地面を覆うような植物(草・低木・高木)があるのが望ましい。植物があれば日陰ができ、土地の侵食やほこりも抑えられる。用地造成の際は、こうした植物と表土にできるだけダメージを与えないよう注意する。重機を使う場合は絶対に、無計画に表土をブルドーザーでならしたり、掘り起こしてはならない。家庭での調理燃料として、あるいは家屋用の建材として木材を使用する場合は、用地内または付近で調達しないよう難民に呼びかける。それよりも地元の営林当局と協力して、もっと幅広い木材採集を奨励する(以下の用地計画と天然資源の管理に関する項を参照)。そのために利用可能な植生やバイオマス(エネルギー源として利用できる生物体)について簡単な調査を実施する。用地は、生態系上または環境上の保護地域や、ダメージを受けやすい地域の近くに設置すべきではない。
用地選びの方法
選択の基準について、計画立案チーム内で合意を得る。
i. 評価基準リストにある項目の優先順位をつける。
ii. 地形、道路網、土地利用、水源を示す適当な地図や情報を入手する。
iii. 候補地を視察して特徴を把握し、用地の使用を妨げる欠陥(水がない、洪水が起きやすいなど)がないか確かめる。
iv. 候補地の面積をざっと見積もる。例えば、車の走行距離から長さを見積もったり、可能ならGPS(全地球測位システム)など他の手段を使う(第11章参照)。
v. さまざまな配置設計によって用地が受ける影響を調べ、基準リストに基づき候補地のランク付けをする。
◆用地計画に関する一般的な検討事項
◆ 用地の全般的な設計には、家族、村などの社会集団を中心とし(様々な機能を)コミュニティへ分散させることを念頭におく。
◆ 用地計画(site planning)には、各世帯の特徴とニーズを基にした「ボトムアップ型」アプローチを取り、できるだけコミュニティの要望を反映させる。
はじめに
38. 実際の居住地作りは、コミュニティの保健と福利に大きな影響を与える。用地計画が優れていれば、物資やサービスも均等かつ効率的に提供できる。
どのような状況であっても、難民キャンプ内の人口過密を避けることを最重要目標とする。
マスタープラン
39. 「マスタープラン」、すなわち全般的な用地計画は、用地全体の形状、環境と特質、すでに存在する要素(自然や居住地など)対する位置関係を表す。また、最小単位から積み上げて計画を立てる原則と難民の社会組織とに考慮し、以下の点を含める。
40. 自然と既存の状況
i. 等高線(標高の等しい地点を結んだ線)
ii. 河川、森林、丘、氾濫原(洪水時に水に覆われる場所)、湿地帯
iii. 岩石の多い地区と砂地
iv. 既存の建物、道路、橋
v. 農地、送電網、水道管