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キャンプ用地の広さ

24. 難民用地として最低限の推奨面積はあるが、その適用は慎重かつ柔軟にする。厳密な基準ではなく、最初の概算用の目安に過ぎない。

難民キャンプ(camps)を計画する際、庭面積を含め、ひとりあたり45平方メートル以上の面積が確保されるのが理想的だ。庭面積を除くと、ひとりあたり30平方メートルを下回るべきではない。

ひとりあたり30平方メートルという数字には、道路、歩道、教育施設、衛生、治安、防火帯、管理運営、貯水、配給、市場、救援物資の保管と配給、そして住居区画に必要な面積が含まれる。本格的な農業や家畜用の土地は含まれない。緊急事態において農業は優先事項ではないが、用地計画では、あらかじめ世帯用区画に小さな菜園を付けるべきである。これにより、ひとりあたりの面積は最低15平方メートル広くなる。つまり、ひとりあたり45平方メートル以上の土地割り当てが必要になる。

 

25. 一般に、キャンプ人口は2万人を超えないようにする。菜園用の土地を含めると、2万人分の用地は、以下の面積になる。

2万人×45平方メートル= 900,000平方メートル= 90ヘクタール(縦948メートル×横948メートルの土地の場合)

 

26. 可能なら、キャンプとキャンプの間にはかなりの距離を取る。距離は、アクセス、地元住民との距離、給水、環境上の配慮、土地利用など多くの要因によって決まる。

 

27. 難民居住地は、自然増または新規流入による人口増加に対応できるよう、拡大の余地をもたせる。出生数が死亡数を上回ると、人口は最大で年3〜4パーセントの割合で増加する。

 

土地利用と土地の権利

28. たいていの国では、難民居住地を建設できる土地(land)は乏しく、政府が公有地を提供する場合が多い。私有地を使用する場合は、その国の法律に基づく正式な法的手続きが必要となる。

難民居住地のために、UNHCRが土地を購入したり賃借することはない。

土地の購入・賃借が問題となった場合は、すぐに本部に相談する。

 

29. 候補地が見つかったら、用地査定の段階で、土地の所有と土地の権利(land rights)を必ず確認する。公的な記録がなかったり、一目瞭然でない場合でも、土地の権利や所有権は、ほぼ例外なく(地元住民に)知られている。遊牧民による放牧は、広大な土地が必要なため、土地が使用されているようには見えない場合もある。

 

30. 中央政府や地方当局(慣習的組織を含む)と合意を結び、難民は当該用地の専用権を得るべきである。伝統的あるいは慣習的な土地使用権は非常に微妙な問題であり、中央政府と用地使用の合意を結んでいても、地元の集団が、たとえ一時的でも難民用地として使用されることに反対する場合がある。土地利用/通過権と土地使用制限の確認も、以下の点で難民の権利を定めるために必要である。

i. たきぎと家屋用建材、および家畜用の飼料の確保。

ii. 家畜の放牧。

iii. 農業その他の生計活動への従事。

 

 

 

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