用地選びと計画立案のための情報
18. 候補地をしぼる際は、不測事態対応計画の立案過程で集めた情報と、他の利用可能な情報(地図やデータ)を見直す。計画立案で欠かせない情報は、地図や調査報告書などに記載されていることも多く、通常は地形、土地利用、気候、土壌、地質、水文、植生(vegetation)、インフラ、主な自然・文化資源などの分野におよぶ。情報源としては、政府省庁、教育機関、国連機関などがある。UNHCR本部も、地理情報システム(GIS = Geographical Information Systems、コンピューターのソフトウェア)を利用して得られる地図、航空写真、衛星画像、特殊な地理データベースの提供を通じて事業を支援できる。
専門知識と人員
19. 水文、測量、設計、工学技術(給水、環境衛生、道路・橋りょう建設、建材など)、公衆衛生、環境、そしておそらく社会人類学の分野で、専門技術や知識が必要となる。出身国と庇護国両方の事情に精通していることは非常に重要である。緊急事態での経験や柔軟な取り組みは、とりわけ貴重となる。
20. UNHCRの工学・環境サービス課から専門技術・知識と助言を求める。この分野の援助活動を調整する専門家の配置についての助言が得られる。政府省庁、国内外のNGO、建築・土木研究機関、地元産業界、専門組織、他の国連機関も、必要な専門技術・知識の情報源となる。
21. 用地選びと居住地の計画立案に際しては、立案、開発、利用にかかわる関係者全員との幅広い協議が必要である。妥当ならば、より良い協議体制を確立するため、そしてより良い意見を得るために、分野横断的な計画チーム、検討グループ、作業部会を組織する。関係者全員のニーズが完全に満たされることはまずないが、合意形成に努める。
◆用地選びの基準
◆ 庇護国に土地がなく、望む条件をすべて満たす用地が確保できない場合もある。用地が明らかに不適切なら、もっと良い場所に難民たちをできるだけ早く移すために、あらゆる努力をする。用地が劣悪なために生じる問題と移動の難しさは、時間がたつほど増大する。
はじめに
22. 難民の社会的・文化的背景は、一番に配慮すべき事項であると同時に、どのような用地と住居が最適かの決定要因となる。しかし多くの場合、選択の余地は限られ、最低限の基準を満たす土地を見つけることさえ難しい。人が住んでいない土地を難民居住用に提供された場合は、その土地が今まで使用されてこなかった理由――水がない、雨季に洪水が起きるなど――を見つけ出し、難民たちが暮らしていけるかを確かめる。
給水
23. 用地選びは、給水の専門家による判断が前提となる。
実際、十分な水を、年間を通じて確保できるかどうかは最重要条件であり、最も問題の多い点である。
単に穴を掘ったり、運搬すれば水は手に入るだろうという見通しに基づいて、用地を選ぶべきではない。ボーリングができない場合や、適切な量と質の水が得られない場合もある。水の運搬が長期間必要な場所は用地として選ばない。