ただし人数が多いと、不足する場合もある。
iii. 難民専用の建物を新たに建てる必要がない。
10. 欠点
i. すぐに人口過密になる。
ii. 衛生その他の施設・サービスの受容能力が追いつかない。
iii. 設備や建物が損傷する。
iv. 建物を本来の目的のために利用できなくなり、受け入れ住民用の公共サービスが中断される。
v. プライバシーがない。
キャンプ居住
11. この居住形態は、難民が意図的に設けられた場所に居住する場合をいう。通常、水や衛生といったサービス全般は、用地内の住民のためだけに提供される。
12. 人口が非常に多い過密キャンプは、難民の住まいとして最悪である。しかし庇護国の決定によって、あるいは単に代替案がないために、過密キャンプとならざるをえない場合もある。こうしたキャンプは、もともとインフラがほとんど、または全くない地域や、難民が多すぎて上記2種類の居住形態では地元資源に耐えがたい負担を強いる場合に見られる。
13. 利点
i. 大勢の人々に対して、集約的かつ効率的にサービスを提供できる。
ii. 分散居住と比べて、一部のサービスでは「規模の経済」が得られる。
iii. 難民の確認や連絡が容易である。
iv. 自主帰還(voluntary repatriation)を準備しやすい。
14. 欠点
i. 人口密度が高いために、住民の健康が著しく脅かされる。
ii. キャンプ周辺の環境が破壊される可能性が高い。
iii. 難民が集中しているため、特に国境付近では、保護上の問題が起きやすい。
iv. 規模の大きいキャンプは、難民の地位が認められるべきでない武装集団に、隠れ場所や支援基盤を与えてしまう。こうした武装集団を一般の難民と区別するのは難しく、彼らは援助の恩恵を受け続けるかもしれない。
◆対応の組織化
◆ 用地選び、計画、住居は、他の援助に大きな影響を与える。
◆ したがって対応の組織化は、問題とニーズを把握し、対応するのに不可欠とみなさなければならない。
◆ 専門知識・技術、新たな用地の選定、現状の改善は不可欠である。
はじめに
15. 用地選び、計画立案、住居の提供は、他の援助に直接影響を与え、問題とニーズの全体的な把握・評価、対応計画の立案においても重要な要素となる。問題に対する総合的な対応の一部であることを考慮し、専門家の助言や難民の意見も考慮したうえで決定を下す。
不測事態対応計画とその立案
16. 用地選び、計画立案、開発は難民の到着前に終了しているのが理想である。しかし難民流入の規模、性質、時期、方向によって事態が変化したり、予期せぬ出来事が起こり不測事態対応計画の全て、または一部が見直しを迫られる場合は多い。こうなった場合でも、不測事態対応計画の立案過程で集めた情報が役に立つことが多い。
17. 緊急事態であるということ、そして用地の決定には実務的・政治的な理由がしばしば最大の決定要因となることが多いために、難民が自ら住みついた場所を改善することが、当面の優先事項となる場合が多い。