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はじめに

28. 登録によって得られる人口情報に基づけば、より効率的な保護と援助ができる。事業計画では、登録が必要な場面が色々ある。新たな難民流入が起きた時、自主帰還事業を実施する時(第19章参照)、援助計画の実施中に人口情報を更新したり保護者のいない子どもなど特別なグループに関する情報を集める時(第10章の付表を参照)などである。以下の情報は、主に、難民流入または人口情報を更新するための登録に関わる。

 

29. 難民の数が多い場合は、当面のニーズと、任務に投入できる時間と職員数に応じて、登録作業を6段階に分けるのが望ましい。各段階をそれぞれ独立した作業と見なすが、情況が許し次第、次の段階に移行する。

 

30. 登録の6段階とは――

i. 難民人口の推計。

ii. 登録計画の立案と難民への通知。

iii. 人口の確定。

iv. 情報収集と登録カードの発行。

v. コンピューター入力。

vi. 照合と更新。

 

31. 「理想」的な登録は、難民とその指導者とできるだけ緊密に協力し、登録過程の全段階でコミュニティの責任と参加を促すことである。最初は難しいかもしれないが、これが登録、そしてキャンプ運営管理の双方における大きな目標である。

 

32. 本登録には相当の時間と人員を要するから、政府、他の国連機関、NGO、治安当局など必要な人員を提供できる主要協力機関の積極的関与が必要となる。登録の実施は、以下の条件が満たされる場合に限定する。

i. 職員と難民の安全が保証されること。

ii. 難民が登録手続きに納得していること。

iii. 主要協力機関が、登録に必要な職員を提供できること。

iv. 登録のための用具、計器、通信設備や後方支援などが十分あること。

 

UNHCRの標準登録用具

33. 標準登録用具は本部に備蓄されており、30万人の難民登録に十分対応できる。標準カードと用紙、リストバンド、確認表などで、難民登録パッケージに含まれている。これらの用具と入手方法の詳述は、巻末の付録1「緊急事態対応資源カタログ」を参照のこと。

 

登録の各段階

第1段階 人口の推計

34. 人口の推計は、本登録が必要かどうかを判断する場合、または登録実施のために人数の予測が必要な場合の最初の作業である。詳細な人口情報がまだ入手可能でない場合、推計により、事業計画の立案のために使う数を割り出すこともできる。

 

第2段階 登録計画の立案と難民への通知

35. 登録の計画・実行責任者を任命する。別のキャンプでの試験登録は、潜在的な問題点を明らかにもできる。登録計画は、難民も含め関係協力機関と共同で立案する。この段階で、職員研修が必要かもしれない。必要な職員配置、設備、物資、安全、電気通信、車両、後方支援が、実施日に確実に利用できるようにする。どの程度の情報を管理表、登録用紙、コンピューターで集めるかを決める。

 

36. 計画の立案と同時に、難民の指導者だけでなく、難民全体に向け強力な宣伝・広報活動を実施し、難民に登録の手順と利点を知らせる。

 

 

 

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