i. 境界線の経度・緯度をジュネーブ本部の地図作成部門に知らせると、面積を算出して結果を教えてくれる。あるいは紙にX軸を経度線、Y軸を緯度線とする方眼線を引き、境界線の経緯度点をマークしていく方法もある。この経緯点を結んだ線を引き、線に囲まれた方眼を足せばキャンプの面積が出る。経度1度の距離は一定ではなく、北極・南極に近いほど短く、赤道に近いほど長くなる。この方法を取る場合はキャンプの正確な位置における経度1度の長さを知る必要がある。この長さは縮尺が大きい地図からも分かる。
ii. GPSによって確定されたキャンプ境界線上のポイントをもとに、コンピューター・ソフトウェア(Geographical Information Systems〈地理情報システム〉、GIS)が自動的に地図を作成し、面積を計算する。ソフトウェアを設定する場合は、本部が技術支援をしてくれる。
20. キャンプの面積が確定したら、総面積の30分の1程度の広さのサンプル区域を最低3か所選び出す。例えば、キャンプの総面積が60万平方メートルだとすれば、サンプル区域の広さは2万平方メートルである。面積が同じであれば、縦・横はどんな長さでもよい。サンプル区域の面積を計算する場合は、通常のGPSでは十分な精度が得られないから、従来の方法を利用すべきだろう。
21. 3つのサンプル区域それぞれで、住居(家庭用テントなど)の数を数える。次に、区域ごと(つまり2万平方メートル)の住居数の平均値を出す。それを30倍して、キャンプ全体にあるテント(住居)の推定数を出す。
例えば、3つのサンプル区域のそれぞれに、120個、134個、145個のテントがある場合、サンプル区域のテント数の平均は(120+134+145)÷3=133個となる。したがって、60万平方メートルのキャンプにあるテントの総数は、133×30=3990個となる。
22. ひとつのテントに住む家族の構成人数の平均を求め、総人口を推計する。例えば、1テントあたりの平均が5人であれば、総人口は5×3990=1万9950人となる。
航空写真
23. 家族用テント(住居)の数を数えるには、キャンプの航空写真(場合によってはビデオ)も使える。近隣の丘、塔、高層ビルからキャンプを撮影することもある程度は可能である。プロの航空写真のほかに、例えばUNHCR機が撮影した「アマチュア」写真も人口推計に利用できる。キャンプの上空を飛行するには、当局の許可が必要な場合もある。
24. 1テントあたりの家族の平均人数、および誰も住んでいないテントの割合を確定するために、航空写真を地上調査で補足しなければならない。
25. 写真(または写真の継ぎ合わせ)に映ったテント数に、1テントあたりの家族の平均人数を掛ければ、総人口が算出される。
26. 写真撮影をするためには、適切な縮尺を決めることが重要だ。縮尺はキャンプの大きさによっも違ってくる。高い位置から撮影すれば、処理・分析する写真は少なくて済むが、テントの見分けがつきにくくなる。
27. 航空調査の結果をGISに取り込めば、地図を作成できる。
◆登録
◆ 登録によって、援助事業の効率的な管理運営に必要な詳細情報が得られる。
◆ 登録は、何段階かにわたって実施する。