9. ほとんどの人口推計法では、受益者コミュニティの構成(生活形態や平均的な世帯の人数)を理解することが重要となる。
10. 章末の付表1に、全般的な状況報告書で人口推計を報告する際の書式を示した。推計は、定期的に更新する。
人数を数える
11. 難民の流入ルート上に簡単に把握できる入国・通過ポイント(橋や交通の要所など)がある場合、これらのポイントを通過する人の数を毎日数えれば、難民人口を妥当に推測できる。橋などの重要地点に十分な数の職員を緊急に配備し、24時間態勢を敷く。職員には計数器と簡単な記録・報告用紙を持たせる。
行政記録
12. 難民所在地の地元当局が、難民の人口に関する記録・情報を集める場合もある。可能なら、出身国から国勢調査その他の人口に関する記録・情報を取り寄せ、庇護地域のデータと照合する。
難民のリーダーが作成したリスト
13. 難民のリーダーが難民名を記載したリストを作成し、難民のコミュニティと合意した方法でリストが正確かどうか確認することもできる。
できるだけ正確で公正な登録制度にするためには、コミュニティ構成の理解が特に重要となる。
正常時のコミュニティの構成と社会階層は難民たちが流出する際に崩壊し、庇護国では異なる人々が指導的役割を果たしている場合が多い。新しい指導層の役割、動機、影響力の理解は極めて重要となる。この点で、コミュニティ・サービス部門とフィールド職員が役に立つ。難民のリーダーが作成した難民のリストが、無作為のチェック・確認を受け、定期的に更新されていれば、登録の必要も無くなるかもしれない。
14. 難民のリーダーが作成したリストは、特別な援助を必要とする弱者層を把握する際にも役立つ。コミュニティ・サービス職員は弱い立場にある人や家庭を訪問して、リストの正確さを確認する。
住居の数による推計
15. 難民人口は、キャンプの総面積と、キャンプの一部にあるテントなどの住居の数から割り出すこともできる。
16. キャンプの総面積の算出法は多数ある。まず、敷地の縦・横の長さの平均値から算出する方法がある。長さはキャンプが小さい場合、歩測または回転計測器か巻き尺を使って、キャンプが大きい場合は自動車を使ってその走行距離から測定する。
17. キャンプの地図がある場合は地図に方眼線を引き、キャンプの敷地に該当する方眼の数を足せば総面積を割り出すことができる。
18. 最後に、GPSを利用した計算法がある。GPSは携帯機器(大きめの電卓ほどのサイズで1999年の値段は約200米ドル)を使うシステムで、小さな画面に現在地の緯度と経度が表示される。位置の確定に複数の衛星を利用しているから、衛星からの電波が遮られる密林や、深く切り立った狭谷では機能しない。
19. GPSは、キャンプの境界線の経度・緯度を調べるために使う。キャンプの形が不規則だと、境界線上に多くのポイントを設ける必要がある。境界線が定まったら、以下の方法で面積を計算する。