◆はじめに
?b 難民の人数と特徴を把握することは、効率的な事業計画を立案・管理するうえで基本となる。ある程度正確な人数の割り出し方はいくつかある。
?b 正確な把握が不可欠とはいえ、緊急事態の発生時に、常に正式な集団登録をすべきというわけではない。
?b 登録を成功させるには、優れた計画、慎重な実行、一貫したモニタリングが必要である。
1. 効率的な事業の計画・管理で、まず知っておくべきことのひとつが難民の数と特徴である。したがって人数の正確な把握は、いかなる評価においても必要不可欠である。
2. UNHCR事務所規程第2章、8(f)では、高等弁務官は、「各国領域内の難民の数と状態及び難民に関する法令について各国政府から情報を入手」し、難民の保護に備えること、と定められている。援助事業はこうした情報なしに実行できないことを、当局に対して明確にしておく必要がある。
3.
人数の正確な把握が不可欠とはいえ、緊急事態の発生時には常に本格的な集団登録を行なうべきだ、ということではない。
推計によっては正確な推定数(年齢/男女別の内訳を含む)が得られるため、本登録の必要がない場合は多い。初期対応として、こうした簡略された方式のほうが望ましい場合もある。
4. 登録作業の主な役目は、その後の計画策定のために基本情報を得る貴重な機会となることである。難民の数をめぐる議論も避けられるだろう。さらに、登録は個人や家族の追跡調査にも欠かせない難民保護の重要な要素となる。
5. 登録に最適な機会は、難民が受け入れ・通過センターや居住場所に到着した時である。登録は、集団検診と一緒に行なわれることが多い。難民を別の用地に移す時も、集団登録の好機となる。
6. 時間の経過につれて、公式発表の数と、難民たちと接触している職員たちが出す推計とが食い違ってくることがある。この違いを早く解決しないと、重大な問題が起きる。調査と登録作業の難しさを考えれば、小さな違いは生じるだろう。大きな違いは本章で述べるいくつかの方法で、適切な時期に確認作業を行なうことに回避できるだろう。
7. 登録と人口推計技術の詳細は、UNHCRによるRegistration-A Practical Guide for Field Staffを参照のこと。
◆難民人口の推計
?b ほとんどの人口推計法では、援助を受ける集団のコミュニティの構成を理解することが重要となる。
?b 推計は定期的に更新する。
はじめに
8. 人口を推計するには、以下の方法がある。
i. 人数を数える。
ii. 行政記録。
iii. 難民リーダーが作成したリスト。
iv. 外挿法(入手可能なデータからの推定)と全地球測位システム(GPS = Global Positioning System)。
v. 航空写真。