82. 可能ならば、教科書と教師用手引きを入手するため、また難民や教師が受けた教育や訓練の資格に関して尋ねるため、出身国の教育省に連絡をとる。できるだけ早期に開校するため、ビニールシートを使って仮設の家屋を作ることもできる。校舎の建設・保守のためにコミュニティを動員する。簡単な教室、トイレ、その他の必要器材はなるべく地元の資材を使って作る。
一般的に、大規模な学校より小規模な学校が散在しているほうが望ましい。小学校は、低学年の子どもが歩いて通える距離に設置する。
83. 教育計画には、子どもと青少年のためのレクリエーションやスポーツを組み入れ、用地の設計時点で必要なスペースを割り当てる。用地の選択と設計の際、後で教室を増やす必要が出てくる可能性にも配慮する。
幼い難民が正式な学校教育の中断を強いられる事態も生じうる。したがって年齢による入学制限は設けるべきでない。
84. 初期の予算は、出身国のカリキュラムの要点に基づき、生徒と教師用の教材を印刷やコピー、学校の備品やレクリエーション用の器具の購入に当てる。保健、環境、平和教育やその他のメッセージを伝える資料の翻訳と複製も、予算に繰り入れる必要があろう。
行動
□ それぞれの場所で教育援助の責任を担い、コミュニティ内の教育委員会、親や教師のグループを設立、訓練する人道機関を特定する。
□ 学校用地を定め、仮設の家屋を建てる。トイレの設置を忘れずに。
□ 筆記用具とレクリエーション用具を支給し、コミュニティの積極的な取り組みを支援する(付表3と4参照)。
□ 適切なレベル(地域/全国)で難民教育委員会を召集する。難民、地元の教育当局、国連の関係機関、実施協力機関、難民の教師に参加させる。
□ 教材と教科書の入手可能性について、UNHCR本部と地元のユニセフ事務所に相談する。
□ 他の家庭・家族活動との調整をしながら、教育・レクリエーション活動の日時を定め、難民の参加と協力を最大限に得られるようにする。
□ すべての難民所在地で、難民の中から選ばれた教育アドバイザーと教師と一緒に学校教育制度を作る。できるだけ早く通常の教育制度に移行する計画を立案する。
□ 長期間維持できる現実的な活動・業務をめざす。
□ 教師の現場研修を組織する。この研修は、学校組織、基本的な教育法、基本的な主題の見直し、保健・衛生・環境保全・平和に関する考えを広めることからなる。
□ 女子の教育への参加状況をモニタリングし、女子の就学と出席を促す。女子が出席しない場合はその根本的な原因をつきとめる。女性教師の採用・研修を促進する(教師の最低半分が女性となるようにする)。
□ 学校に行っていない子どもと若者を、学校または非公式教育に復帰させる。中退やコミュニティ活動への不参加の原因を探る。
85. 計画開発に関して教育専門家の助言も必要となるだろう。UNHCR内部または援助契約によって入手できる専門技術・知識に関して、UNHCR本部と連絡を取る(巻末の付録1を参照)。