ii. 親たちに、家族が生き延びるためのニーズに取り組む時間を与える。
iii. 特定の状況下で教育は、軍への徴兵を回避する処置として、重要な保護の手段になる。
iv. 教育を継続して出身国での再定着を助ける。
「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が定めるように、すべての子どもは教育を受ける権利がある。
76. 教育計画の立案と難民学校の基準に関する詳細な情報については、教育計画立案者の必読書であるUNHCRの教育ガイドラインGuidelines for Educational Assistance to Refugees, UNHCR, Geneva, 1995で解説されている。
教育計画の立案
77. 基礎教育は不可欠であり、たとえ緊急事態における他の優先事項のために教育計画の完全な実施が難しい場合でも、とりあえず開始しなくてはいけない。教育計画の遅れが許されるのは、緊急事態が明らかに短期的な場合だけである。
緊急事態における教育計画では、すべての難民児童と若者が、組織だった教育活動と基礎教育を自由に利用できるようにする。
78. レクリエーション活動や教育活動を実施できる教師を難民たちの中から探し出し、基礎教育計画の開発を支援する機関を見つける。
簡単な活動
79. まず最初に、子どもと若者向けにレクリエーション活動と簡単な教育活動を確立する。これなら学用品が不足していても実行できる。毎日決まった時間に子どもを集め、何かに集中にさせることが大切な第一歩となる。これを率先してやってくれる教師を難民の中から探し出す。こうした活動は、保健や衛生について、子どものレベルに応じた簡単なメッセージを伝えたり、家族が生き延びるためのニーズに取り組む時間を親たちに与え、他分野での生死に直接かかわる活動を助ける。付表3にあげたレクリエーション・活動用具が使用できるだろう。
80. 次に、出身国のカリキュラムに基づき、初期活動を小学校の体制に発展させる。簡単な活動から正式な初等教育に移行させるタイミングは、緊急事態の進展具合による。庇護国の学校制度が難民の出身国または出身地の制度と似ていて、かつ難民の数が限られ、費用効果が高ければ、地元の学校に資材を提供して難民の生徒を受け入れてもらうこともできる。
基礎教育
81. できるだけ早く統合された小学校制度を開発する。基礎教育計画には、付表4に記した教材が使える。この表には、難民1000人の初期ニーズを満たし、小学校第1学年の生徒2クラス分、および2年から3年またはそれ以上の初等教育を終了した生徒1クラス分の筆記用具を挙げた。机や椅子も含まれる。最初は各教室を午前と午後の交替制で使えば、全部で240人の生徒に対応できる。通常は、各難民所在地のクラス数に応じて、学校あたり2セット以上の筆記用具(付表4にあげた種類のもの)がある。
初期のカリキュラムは、帰還後の再定着を円滑にするため、出身国または出身地と同じ内容に合わせる。