70. 衰弱した高齢者が、家族とコミュニティによるケアを受けられるよう奨励する。難民のコミュニティ・ワーカーは、こうした高齢者の食糧、水、燃料の調達を助ける隣人、親類などを見つける。
71. 難民が帰還した後、庇護国に残留する人の大多数が高齢者であるかもしれないことに留意する。したがって彼らをケアできるよう、地元政府とNGOの対応力を強化する。
社会の中で孤立した集団
72. 社会的、宗教的、政治的、民族的な理由から、平常においても、サービスの利用が制限される集団がどんな社会にもいる。彼らは緊急事態では一段と弱い立場に置かれる。これは、援助が多数派の指導者を経由して提供される場合が多いためである。こうした集団を迅速に把握し、難民のコミュニティに組み込めるか、あるいは特別な援助が必要かを判断する。緊急事態の初期段階に、性器切除、早婚、その他の虐待的な習慣など、難民の中で、特定の集団に害を与えるような文化的・伝統的慣習に対処し、適切な措置を講じる。
◆教育(education)
◆ 教育活動は、難民集団を組織化し、子どもと家族の関係を整えることによって、子どもの心理的・社会的ニーズのみならずコミュニティ全体の福利に対応する助けとなる。
◆ 教育活動は、生死にかかわる援助活動の重要な助けになる。
◆ すべての子どもには教育を受ける権利がある。緊急事態であっても、できるだけ早急に、適切な教育の準備を始める。
◆ 誰でも初等教育を受けられるようにすることが最も重要である。少女たちの教育への参加を確保するために、しばしば特別な努力が必要となる。
◆ 難民の学校(schools)は、適切な外部援助を受けながら、できるだけ難民自身に組織・運営させる。
はじめに
73. 教育システムの確立は、子どもと若者の社会的・精神的福利だけでなく、難民コミュニティ全体の福利にとっても重要となる。簡単な学校の設立は、見知らぬ場所へと追われ、トラウマを抱えるコミュニティに秩序と正常感を与えるだろう。難民たちは、家や家族だけでなく、コミュニティからも切り離されている。かつてのコミュニティが崩壊し、新たなコミュニティ組織はゆっくりと構築されているにすぎない。学校は、コミュニティ活動の最初の核となりうる。配給所や登録センター、保健センターといった難民たちが現在抱える問題を象徴する場所でなく、学校のように親しみのある場所の周りに新たなコミュニティが構築されれば、充実感が生まれてくるだろう。
74. 学校はまた、他の施設よりはるかに容易にコミュニティ自身によって始動・運営できる。これは難民の自尊心と自立心を高めるだろう。緊急事態でも、食糧、水、健康といった基本的ニーズが満たされると、難民の教師と親たちはすぐに非公式の学校を設立することが多い。これは上記の理由により、学校制度の重要性が認識されているためである。難民自身が設置した非公式の学校を支援し、計画開始の拠点に利用する。
75. コミュニティ作りの他にも、緊急事態において教育システムは以下の重要な役割を果たす。
i. 生存と生活の術を伝える情報を広める。保健、衛生、栄養、地元の資源を利用しすぐに枯渇させない方法――例えば、調理用のたきぎ――などの簡単なメッセージは、学校を通じて広めることができる。