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里親制度に対する個々の文化の考え方に対し十分な考慮が必要となる。例えば、里子を使用人としてしか見なさない家庭もある。

 

53. 子どもを保護する施設が必要な場合も、小規模で、コミュニティの中に分散して設置し、その活動に組み込まれるようにする。

保護者のいない子どもに提供される施設とサービスが、一般の施設・サービスよりもはるかに良い場合、親たちはそうした特別保護に子どもを委ねかねない点に留意する。

 

54. 親との早期再会が期待できる場合、小規模な保護施設では、子どもたちを効率的に保護すると同時に、緊急事態初期の激しい混乱の最中も子どもたちを見失わずにいられるという利点がある。

保護者のいない未成年者は、他の子どもたちの生活や活動に溶け込ませ、他の子どもたちが受けることのできるサービスも受けられるようにする。保護者のいない未成年者が社会的に無視されることを防ぎ、同時に特別扱いしてはならない。

 

55. 国際職員より移動が少ない現地のコミュニティ・サービス職員や難民を採用し、(里親家族などによる)ケアの継続と安定化をはかる。

 

56. 子どもの面接方法、子どもの成長、コミュニティの動員、子どものトラウマなどについて、子ども専門のケア・ワーカーを監督、支援、訓練する。難民や援助職員を教育し、緊急事態の最初から保護者のいない未成年者を確認・登録させる。

 

女性

57. 女性(women)を弱者と見なすのは正しくないが、女性には特別なニーズがあるのも確かである。それらのニーズが満たされなければ搾取や性的虐待に対して無防備になったり、性差別や、基本的サービスの利用が制約されるなどの危険にさらされることがある。しかも女性に影響を与えるキャンプ管理運営上の多くの決定は、女性への相談なく下される。キャンプの管理運営に関する意思決定に難民女性を参加させないと、女性は危険にさらされ負担も増える。受益者全員の問題とニーズが適切に把握されていないため、援助計画の有効性が損なわれる可能性もある。

 

58. 意思決定に女性が参加する際、新しいやり方は伝統的な指導者たちにとって脅威となりうることに留意する。変化への抵抗をなくすために、特別な努力が必要な場合もある。

文化や伝統は、意思決定から難民女性を排除する理由にはならない。

 

女性の参加を確保する措置

 

□ 難民女性を指導的職務に就かせ、意思決定機関に参加させるなど、コミュニティの中で責任ある役割を与える。

□ 女性が、サービスや施設、特に保健とリプロダクティブ・ヘルスのサービスを平等に利用できるようにし、関係者に関連情報を伝える。

□ 女性に権限を与え、相互援助のため結束の助けとなる大人向けの識字教室などの活動を奨励する。

□ 子どものためのレクリエーション活動や教育活動を企画して、女性をコミュニティで支援する。

□ あらゆる形の虐待から女性を守るため、コミュニティと共に、虐待を予防するための保護の仕組みを開発する。

□ 年長者その他の影響力のある集団と協力し、キャンプの管理運営に女性が参加できるよう支持を得る。

 

 

 

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