離散の防止
40. 家族はできるだけ一緒にいられるようにしなければならない。家族の再会を妨げるような措置は一切取らないこと。家族のまとまりが守られないと、避けられるはずの身体的・精神的苦痛をもたらすだけでなく、離散した家族を再会させるためには損失も大きく、困難が伴う。家族の再会が遅れれば恒久的解決も妨げられる。避難中に、子どもが家族と生き別れるになることはよくあるが、さらなる離散を最小限にとどめ、タイミングのよい再会のチャンスを最大化する措置は取れるはずだ。
離散の予防手段としては、危険にさらされた世帯の支援がある。また、保護者のいない未成年者に対する保護・援助が、親が子どもを制度的保護にゆだねる誘引材料にならないようにする。
41. 未成年者を危険な状況から救い出さなければならない圧力がある一方で、子どもだけの救出が長年にわたる離散の原因となる場合がある。こうした離散が恒久的になる場合もある。身体的な危険が過大視されたり、親と共にいるという子どもの心理的なニーズが過小評価されることもある。
生命を守るためにやむを得ない場合を除き、親または主な保護者と認められる者から子どもを引き離す避難作業はすべきではない。
42. 避難がどうしても必要な場合は、以下の安全措置を取る。未成年者には成人の親類を同行させる。これが不可能な場合、教師など子どもが顔見知りの世話人を同行させる。出発前に、未成年者らの完全な身分証明書を作成する。この書類はできるかぎり未成年者と一緒に移送し、目的地では世話人が出迎えるようにする。こうした避難活動は所定の機関との調整が必要だ。未成年者が国境を越える場合は、家族の訪問と再会を確保するため、受け入れ国政府と事前に書面合意を結んでおく。
43. 家族に対する既存のケアを続ければ、家族がさらに引き裂かれるのを防ぎ、再会も容易になるだろう。兄弟姉妹は一緒にしておく。血縁関係がなくても、共同生活を通じて精神的に支え合っている子どもたちは一緒にしておく。
把握、確認、登録、追跡調査
44. 難民集団内にいる保護者のいない未成年者の状況を早急に把握すること。保護者のいない未成年者を見つけ出すための第一の情報源は、難民とコミュニティの指導者である。難民の全体的な登録作業または人口調査は、より細かな情報を求める以前に、保護者のいない未成年者を見つけ出す適切な機会となるだろう。
45. 全体的な登録作業または人口調査によって、ひとりではないが肉親がいない、したがって追跡調査が必要な子どもを見つけることができる。5歳未満の子どもや、性的虐待を受ける恐れがある少女、兵士にされてしまいそうな少年を見つけ出すことを優先する。
46. 見つけ出した後、できるだけ早く保護者のいない未成年者を個別に登録する(付表2を参照)。
登録によって、特別な地位や待遇を期待させてはならない。
「The Emergency Kit for Unaccompanied Children(保護者のいない子どものための緊急支援キット)」は、身元確認(identification)、登録、追跡調査の助言と道具を提供してくれる。