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35. UNHCRとユニセフは、子ども、及び保護者のいない未成年者に関する責務を定めた合意覚え書き(MOU)を交わしており、ユニセフは出身国で、UNHCRは庇護国で、活動を統率する(巻末の付録2を参照)。

 

36. 以下の措置を取ること。

 

□ 難民の子どもたちがどんな援助や保護を必要としているかを観察し把握するため、コミュニティに根ざした仕組みを特定し開発する。

□ 避難、そして庇護を受けるまでの生活によるトラウマにより、子どもたちが何らかの特質、またはニーズを持っているかどうかを見分ける。子どもが武力紛争の犠牲者ないし加担者だった場合は特に必要な作業である。難民になったことにより特別な精神的・身体的・社会的問題を持っているか否かも確認する。

□ 子どもたちが現在危険にさらされていないかを把握する。兵士にするための強制連行が行なわれているか、性的虐待を受けていないかなど。

□ 青少年のコミュニティにおける社会的役割や高め、困っている人々に対しての責任を持たせるようにする。例えば、彼らは、コミュニティ・ワーカーとして奉仕できる。青少年は――特に世帯主として大人の役割を担っている場合――支援が必要となる。リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関するサービスの利用が必要となり、これに関する教育、及び職業訓練を受ける必要もあろう。

□ 保健・栄養の分野と協力し、教育キャンペーンや、コミュニティの健康、栄養、衛生に関する奉仕活動(母乳保育、予防注射、給食計画の促進など)を組織化する。

□ 女子や弱い立場の子どもを含めた、未就学児童と就学児童のために保育所、レクリエーション活動、緊急事態教育を整備する。

□ 子どもと若者(およびその家族)のニーズに対応するうえで利用できそうなコミュニティ内外の人的・物的資源を見つける。これらは、自立を後押しし、家庭内暴力、性的虐待、薬物・アルコール乱用、武力活動への関わりを予防するはずである。

□ すべての計画作りに子どものニーズを盛り込む。

 

保護者のいない未成年者

37. UNHCRの定義では、「保護者のいない未成年者(unaccompanied minors)」とは、18歳未満で、両親と生き別れになり、法律的にも慣習上も養育責任者が見つからない者を指す。他の機関の定義は異なる場合があるので注意する。また、保護者のいない未成年者は、「生き別れになった未成年者(separated minors)」と呼ばれる場合もある。

 

38. 子どもを「孤児」として扱うと、家族の追跡調査、里親の手配、コミュニティの支援強化に重点がおかれず、養子縁組を奨励しがちになる(孤児院への収容ないし第三国養子縁組を実施する外部からの圧力が非常に大きい場合もある)。

「孤児(orphans)」ではなく、常に「保護者のいない未成年者」または「生き別れになった未成年者」という表現を使うこと。

 

39. 保護者のいない未成年者に対する法的責任は、UNHCRの助言と支援を受けながら庇護国政府が負うべきだが、現実に政府が提供する資源が乏しい場合は、UNHCRがより積極的な役割を担う場合がある。

 

 

 

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