20. 難民コミュニティの外から来た職員には、コミュニティ・サービス活動の調整や、訓練計画の管理運営、また難民の人的・物的資源では対応できない問題への対応が求められる。こうした外部からの支援には、国際職員と現地職員の両方があたることが多い。国際職員の役割は、原則として全体の調整や、指導、支援、訓練、当局その他の関係組織との渉外に限られることもある。
社会的価値観・慣習について熟知していることが不可欠である。
21. 現地職員は、難民に対する文化知識・理解があるため重要な役割を果たす。個々の具体的な問題に対応するには、専門家職員の応援が必要な場合もある。UNHCRとラッダ・バーネン(スウェーデンのNGO)は、緊急事態に際して専門的なコミュニティ・サービス職員をすぐに送り込めるよう、合意覚え書きを結んでいる(詳細は巻末の付録1を参照)。
コミュニティ・サービスは人間同士の触れ合いや信頼を基盤としているため、こうしたサービスを成功させるには同じ職員が継続的に関わる必要がある。
22. 通訳者は、UNHCRと難民コミュニティの間の意思疎通において重要な架け橋となる。通訳者は文化、国籍、言語、人種の違いによって生じる溝を埋められる。通訳者は、通常、難民か地元コミュニティから選び、適切な数の女性を含める。通訳者が難民の場合、難民コミュニティをよく知っており、自分のコミュニティにかかわろうとする姿勢を持つ、という利点がある。その一方、難民とUNHCRの間で板ばさみになったり、両者の意に沿うよう期待されがちだ。したがって難民認定のための面接のような微妙な場面では、できれば難民の通訳は使うべきではない。
チームとして活動する
23. コミュニティ・サービスは、以下のような分野を支援し、同時にこれらの分野と密接に連携する。
保護
コミュニティ・サービスと保護部門は、共に難民の問題に日々対処し、危険な状態にある難民のグループをケアする上で、補完的な役割を相互に果たす。懸念事項が重複する領域もあるだろう。例えば、コミュニティ内の訓練、宣伝、提唱活動、保護者のいない未成年者のための援助計画では、追跡調査、家族の再会、里親による養育、さらに、少数派に対する嫌がらせや性的暴力の予防体制とコミュニティに根づいた解決策の考案などがある。
保健サービス(health services)
多くの問題は、医療的な要素と社会的な要素の両面を持つ。難民たちが保健サービスを利用しないのは、あまりに衰弱していたり、決心がつかないでいるか、あるいは単にサービスの存在を知らないせいかもしれない。女性の保健職員が十分いないと、特に女性の難民は不自由な思いをするだろう。その一方で、保健センターにはあらゆる問題が持ちこまれる。したがって保健センターには、コミュニティ・ワーカーを置く。コミュニティのネットワークを利用すれば、コミュニティの清潔さ、衛生、母乳保育などに関する基本情報を広めることができる。
用地の設計と建設
コミュニティ・サービスは、避難所の設計をする上で社会的・文化的な決定要素が何かを特定し、女性を含めたコミュニティ全体の参加を促し、建設を監督する難民委員会の設立を助けることができる。また、避難場所を、弱い立場にある人々が保護・支援を受けられる場所に設立する責任を、コミュニティ自身が担うようにする。