6. コミュニティ・サービス計画の実施では、3段階方式が取られている。
第1段階 状況把握、行動計画、ガイドライン
第2段階 コミュニティ・サービスの基礎作り
第3段階 コミュニティ・サービスの強化
各段階(重複部分がある)での実施状況は、コミュニティ・サービス・チェックリストを使って確認できる(付表1参照)。
7. 緊急事態の中で、多くのニーズを最もうまく満たせるのはコミュニティ内の人的・物的資源であることが今までの経験から分かっている。どんなコミュニティも、問題の解決方法については、独自の信念、社会的価値観、慣習、伝統、好みがある。
コミュニティ・サービス計画では、既に存在する前向きな対応の手段と仕組みを強化・改善するよう努める。
コミュニティの問題は、総合的で、多分野にまたがる方法を活用し、他の分野と協力すれば最もうまく解決できる。したがってコミュニティ・サービスのスタッフは、UNHCRチームの一員として活動し、様々な分野の状況把握、計画立案・策定、モニタリングに参加すべきである。
8. 一般に、コミュニティ・サービス計画には、中央集権的でない、分権的な仕組みが必要となる。難民のコミュニティ・ワーカーが同じ難民と共に作業し、お互いに知り合えるようにする。活動中のコミュニティ・サービス・チームは重要な照会役を担い、入手可能な資源を難民に教えたり、他のサービス(保健・栄養など)がどこで必要とされているのかを把握することができる。
状況把握と行動計画
9. 緊急事態初期の、念入りな状況把握が、最も差し迫った社会問題と行動計画を定める。こうした状況把握調査はコミュニティ全体を対象とし、特別なニーズがあるにもかかわらず、自らは申し出ない難民を見いだすことに特に配慮する。状況把握調査と、その結果作られる計画では、難民集団の人口統計的・文化的情報のほか、庇護国の政策と資源も考慮に入れる。援助計画全般におけるギャップ(欠落・不足)の発見も、コミュニティ・サービス計画の立案における優先事項のひとつである。
10. 状況把握調査の結果によって、コミュニティ・サービスの活動計画が決定され、それには実施される措置の優先順位、協力機関の役割、家族の再会(family reunion)や暴力(violence)の被害者支援といった特別計画の必要性などが含まれる(章末の参考文献を参照)。
11. コミュニティ・サービス・チーム(本章「人材資源〈human resources〉」の項を参照)を作る前に、地元、国内、国外の協力機関を見いだす必要がある。これにはNGO、政府、地元指導者と難民コミュニティの指導者なども含まれる。地元社会と政府が参加すれば、地元住民のニーズや文化に対する難民の意識が高まる。地元社会も難民を受け入れやすくなり、緊張が避けられる。
コミュニティ・サービス計画の基礎作り
12. 難民によるコミュニティ自主運営グループを見つけ、これを支援することが重要である。自主運営グループが伝統的枠組みの中に収まる場合もあれば、伝統的枠組みの外での活動が適当な場合もある。自主運営グループには女性や若者も含める。また、コミュニティの弱者層に対する支援を奨励する。難民のボランティアは、弱者層を見い出し、その人たちが基本的なサービスを得ることを手助けできる。