緊急事態アピールの準備
53. ドナーに送られる最初の連絡文書は、緊急事態アピールである。状況説明でも、ドナーの注意を向けさせる対象はアピールであり、進展状況が報告されるのもアピールに記載された活動についてである。
54. 緊急事態アピールは、現地と本部の双方で作成される。
アピールに記載される事業の必要性に関する情報は、援助の提供場所――つまり現地――で得られる。したがって、主に現場で書かれたアピールが、資金調達で最も効果を発揮する。
アピールの発行の責任は本部にある。本部は予算を承認し、なるべく早くアピールを発表できるよう、現地からあらゆる必要な情報をできるだけ早く入手する。
55. アピール作成の際は、当事国政府に相談する。さらに、アピールでは初期の状況把握の結果を考慮に入れ、予算は予想される支出をすべて含むようにする。
56. 緊急事態の最中に状況が急変し、現行のアピールが不適切になった場合、現地事務所は本部と新たな方向性について合意した上で、事業目的を見直す。その後に改訂された事業をドナーに提示する。
57. UNHCRの事業協力機関が政府である場合、アピールや事業への出資方法が混乱の原因となりうる。想定される予算が全て当事国における支出に使われると誤解される場合がある。もちろん予算はUNHCRの全直接支出(当事国外からの調達や現地および本部の事業費、保護などの管理運営支援費)をカバーする。この点を、例えば地元向けのプレスリリースやコメントで最初からはっきりさせておけば、後での混乱を回避できる。
現地と本部の連絡
58. 本部と現地は、資金調達とドナー渉外に関して密接に協力する必要がある。本部の担当はドナー・リレーションズ部である。本部の民間資金調達課も、一般の人々や、個人・法人の寄付者向けにアピールを出す。
59. 本部ドナー・リレーションズ部の仕事は以下の通り。
□ 特定のドナーへの対応方法を助言する。
□ 事業の資金調達に関する最新情報を提供する。
□ 現場で話し合われている将来的な拠出要請について拠出国政府に知らせる。
□ アピールを作成・配布する(現地事務所が積極的に参加)。
□ ドナーの資金拠出部門向けに提出書類を作成する(現地事務所が積極的に参加)。
□ ドナーに詳細な報告書を提出する。
60. 現地事務所は、以下の活動・業務をする。
□ 事業の基本情報とアピール用の情報を作成する。
□ あるドナーが資金拠出に関心を示したら、拠出がアピールに対してなのか、特定の事業に対してなのか、指定した活動に対してなのか、現物寄付なのかを本部に伝えると共に、ドナーに対して本部を通して拠出するよう求める。
□ 現状とUNHCRの計画についてドナーに情報を提供する。ドナーは寄付の決定に情報を必要とする。情報の一部は、緊急事態アピールや状況説明にも含まれるが、もっと詳しい情報を必要とするドナーもある。タイミングの良い、きめ細かな対応は、迅速な資金調達を可能にする。
□ ドナーに対する報告書提出を支援するため本部に報告書と情報を送る。継続的な資金拠出を確保するためには、必要情報が遅滞なく現地から供給されることが欠かせない。