47. ドナーとの関係は、以下のような方法で維持する。
i. UNHCR職員とドナー代表が、現地レベルで状況説明ミーティングを開いたり定期的に連絡する。ドナーとの定期的な状況説明会(本章第3〜11節)では、実施中の措置、保護問題、制約事項の最新情報を提供し続けること。
ii. 定期的な連絡、拠出に関しての事後報告を本部レベルで行なう。
iii. 難民所在地や援助現場の視察にドナー代表を参加させる。
iv. メディアにおけるUNHCRのビジビリティを通じて事業に対するニーズを間接的に伝える。
48. ドナーと連絡を取る際は、UNHCRの保護・調整の役割を強調することが重要だ。UNHCRが現場で実際に、適切なリーダーシップを取って調整を行ない、その活動が外部からも分かるようにする。
49. 正式に承認された事業と予算についてのみ資金拠出を求める。
この点に例外はない。これは、資金を最も必要とされている場所に集め、事業上の優先事項と目標に一貫性をもたせ、それをドナーに知らせるうえで必要となる。UNHCR内には、ドナーに状況説明をする部門が複数あるが、信頼性を確保するためには、それぞれの部門の状況説明が一貫していることが重要となる。資金調達のために、何をドナーに提示するかは本部のドナー・リレーションズ部に助言を求める。
50. ドナーの関心が、資金が最も必要とされている活動や事業分野に集まるようにする。妥当な場合は、地域的な資金調達を推進する。緊急事態には地域的な側面があることを忘れてはならない。状況説明ではUNHCR事業のさまざまな要素を盛り込み、事業のあらゆる面への資金拠出についてドナーと話し合う準備をしておく。
51. 用途を事業の一分野に指定した寄付は、事業の柔軟性を損なう。巨額の資金が使途を厳しく指定され拠出される場合がある。ドナー組織内で、いったん資金の使途が予算化されると、よほどのことがない限り修正はされない。
ドナーに対し、できるだけ使途を指定しない拠出をするよう奨励する。
それでもドナーが事業の特定分野に限定した資金使用を強く望む場合は、当該事業分野にまだ資金がわたっていないこと、他のドナーに対し資金拠出を申し入れていないことを、UNHCR本部のドナー・リレーションズ部に確認するよう、そのドナーに対し助言する。
52. 特に緊急事態では、ドナーは現金でなく、物品やサービスの提供を申し出る場合がある。こうした寄付の適切性の判断は、現場に大幅な裁量が認められている。現物寄付の申し出があったら、すぐに本部のドナー・リレーションズ部に報告し、ドナーにも本部に通知・連絡するよう求める。複数のドナーから同様の寄付が重複するのを避け、現金と現物の計算が混同しないようにするために、現物寄付を受ける際は本部の調整が必要である。1
1 現物寄付の詳細は、「Procedures for Handling Contributions in Kind IOM/65/96 - FOM/74/96, UNHCR, 1996年11月」で説明している。現物寄付の取り扱いに関する予算手続きについては、第8章を参照する。