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事業のビジビリティ

40. 緊急事態の管理者は、UNHCRの事業が報道されるようメディアと協力するだけでなく、事業のビジビリティ(visibility、 人目へのつきやすさ)にも気を配る必要がある。

 

41. ひと目でUNHCRの職員、車両、建物、救援物資だと識別できれば、受益者、地元当局、協力機関との話し合いもスムーズになる。

紛争地帯では、職員や施設・機材に目につくマークや標示を付けることが重要な安全対策になる。

 

42. 職員は、外見でUNHCRの職員だと確認できるようにする。職員、車両、建物に付ける識別用のマークなどは本部から入手できる(巻末の「緊急事態対応資源カタログ」Appendix 1を参照)。UNHCRだと一目でわかれば、UNHCRがこの場所で活動中であり、難民に援助を提供しているという事実を受益者や外部に知らせる助けとなる。

 

◆資金調達とドナー(拠出国・拠出機関)との関係

 

緊急事態基金

43. どんなUNHCRの緊急事態活動でも、資金の確保は必須条件である。こうした活動の初期における事業費や管理運営支援費にはUNHCRの緊急事態基金が使われる場合が多い。UNHCRの財務規則によれば、緊急事態基金は、「執行委員会が承認する援助計画に含まれていない緊急事態における、難民と避難民に対する資金援助」のため、またこうした緊急事態の追加的な管理運営費をまかなうために設けられている。この基金のうち年間の合計で2500万米ドルまでは、高等弁務官の裁量で割り当てることができる。ただし、ひとつの緊急事態につき年間800万米ドルまでで、かつ、基金に800万米ドル以上の残高があるようにしなければならない。詳細は巻末の「緊急事態対応資源カタログ」のAppendix 1とUNHCRマニュアルの第4章を参照。

 

OCHAの緊急事態用基金

44. 国連人道問題調整事務所(OCHA)のCentral Emergency Revolving Fundと呼ばれる緊急事態用の基金は、緊急事態に迅速に対応するため、国連システム内に資金を提供する目的で作られた。基金の目標は5000万米ドルで任意拠出金から成り立っており、国連事業機関や事業体への前払い金として使用される。原則として、こうした前払い金は、その後の収入(通常、共同アピールの結果)から真っ先に返済される。詳細は巻末の「緊急事態対応資源カタログ」を参照。

 

既存資金を使う

45. 既存の事業の中で緊急事態が起きた場合は、当座の資金は当該事業の予算から、あるいは計画準備金から確保される。ニーズの拡大規模と、緊急事態が起きた時期によって、さらなる資金調達が行なわれる。これは当該年度または次年度の新規プロジェクトとして執行委員会に提案されるか、特別アピールの対象となる。

 

ドナー(拠出国、拠出機関・団体)へニーズを知らせる

46. 事業の運営に何が必要か、進展状況、制約事項は、ドナー(拠出国、拠出機関・団体)にはっきりと伝えなければならない。ドナーに対する渉外戦略は、緊急事態の早い時期に立て、継続する。

 

 

 

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