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27. 現地事務所も、国際メディア(international media)の報道状況を本部広報部から定期的に知らされる必要がある。重要な国際メディアによる報道(現地での状況説明に基づく報道を含む)は、現地に伝わらない場合がある。

現地取材を事前に本部に知らせてきた報道関係者には、緊急事態中、現地事務所は非常に限られた時間しか割けず、移動手段などに関しても限定的な支援しかできない旨を明確に説明する。

 

インタビューの心得(tips for interviews)

28. インタビューの基本ルールを事前に明示すれば、たいていの場合、記者はこれを尊重する。情報源や回答者の名前の扱いがどうなるかを、あらかじめ記者と合意しておく。氏名によるのか、「UNHCR報道官」、「国連筋」、「人道職員」、「国際社会の情報筋」によるのかなどである。ひとつのインタビューの中で、事実については情報源を明確にし、政治的配慮の必要な事柄や、制限の必要な事項については情報源に触れない場合もある。一方、情報源をすべて明らかにするインタビューもあるし、インタビューが録音される場合も多い。背景情報を得るためのインタビューもあるが、この場合、回答者は直接の情報源とはされない。

 

29. ラジオとテレビのインタビューは、UNHCRの目的にとって肯定的な報道となりうる。原則として、情報源(だれが何を言ったか)は完全に明らかにされる。特に微妙な問題がある場合はインタビューを避ける。ラジオやテレビのインタビューは編集される点に留意する。

 

30. どんなインタビューやコメントでも、慎重さを優先させ、確信のないこと、知らないことは答えない。発言を予定の範囲内に収めるには、相当の経験と自制が必要だ。インタビューに応じたり、質問に答えることを事前に同意していれば、どんなに質問が不合理であったり誘導的であったとしても、敵意や苛立ちを見せればほぼ間違いなく逆効果をもたらす。

 

31. UNHCRの仕事には困難が伴い、必然的に間違いが生じるが、問題や困難を隠そうとしないこと。ほとんどのジャーナリストはこうした問題や困難を理解しており、非常に困難な状況下での活動に敬意を払っている。したがって、メディアが独自に問題を発見する――これはほぼ確実に起こる――前に、こちらから問題点を話すのが、常にと言って良いほど、最良の方法である。もし間違いがあったら、それを認め、そこから教訓を得るべきである。

慎重さも重要だが、正直さと明快さが最良の策である。

 

32. 質問に完全な回答を与えて沈黙が訪れたら、そのまま黙っていること。強制的に話をさせられているのではない。とりとめなく話すより、回答を組み立てるために間を置いたほうがよい。重要な情報を広める目的がない限り、次の質問を誘導しないこと。

 

33. 記事をボツにしたり、伏せるよう頼まないこと。検閲しようとすると逆効果となり、1)伏せようとした事柄を一層詮索され、2)伏せようとしたこと自体への批判的な記事、という二つの結果をすぐにもたらす。

 

34. 記者会見、特に電波メディアでは、最初に一番重要なポイントを話すこと。また、それ以降の回答や発言でも、その最重要ポイントに繰り返し言及すること。ラジオとテレビが相手の時は、短く答えること。テレビとラジオでは情報量が厳しく制限されるため、長々しい説明や回答は使われず、重要ポイントが報じられない傾向がある。

 

 

 

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