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11. 状況説明の実施には、それ相当の時間と努力が必要となる。最優先すべきは難民に必要な緊急援助を届けることである。だが、関心を持つ人々や政府にとって事業の進展状況を知るための情報源がないと、UNHCR職員が個別の状況説明にいっそう多くの時間を取られることになりかねない。

 

◆メディアとの関係(relations with the media)

 

はじめに

12. 通常、メディアは、UNHCRなどの困難な状況下で活動する人道機関の味方である。メディア――特に地元在住の記者――は貴重な情報源ともなる。緊急事態にはメディアの大きな関心が集まり、国際社会全般の対応(特にUNHCRの対応)については、事態の早い時期に論調が固まる。これはUNHCRへの支援に重大な影響を及ぼす。好ましくない第一印象を正すには時間がかかるし、メディアの関心はそのままほかへ移ってしまうこともある。

メディアからの支援と好意的な報道を得る最良の方法は、直面する状況下で、最大限効果的な緊急事態事業を運営することである。メディア対策のノウハウも、優れた業績に取って代わることは決してできない。

 

13. テレビ、ラジオ、新聞は厳格に決められた締め切り時間に追われる中、緊急事態の現状を伝える情報と、ある程度の背景情報を必要とする。雑誌と一部のラジオ・テレビ番組には調査と確認の時間的余裕があり、掘り下げた報道ができる。テレビのニュースチャンネル(CNN、BBC World、Sky Newsなど)や通信社(AFP、AP、ロイターなど)が報じるのは速報型のニュースで、締め切りも非常に短く、世界中で緊急事態が報じられる際の重要なニュース源となる。

 

14. 交通・輸送に問題が多い緊急事態では、ジャーナリストが人道機関に移動面での助けを求めることが多い。事業上の優先事項と情勢を考慮した上で、国内外のジャーナリストの取材活動をできる限り支援をする。

 

メディア対応の一般的ガイドライン

15. 最初にメディア担当者を決める。メディアは事業責任者から直接情報を得たがるが、これによって事業責任者が多くの時間をとられてしまう場合がある。したがって、UNHCRのフィールドチームに、あらかじめ広報官を加えておくことが望ましい。

 

16. 広報官は、事業の展開とUNHCRの方針・対応に関する情報を、完全かつ即座に入手できなければならない。当該事業において最高位のUNHCR職員から、必要とあれば何回でも(大規模な緊急事態では1日1回以上)最新情報が得られるようにする。その条件が整えば、広報官はメディア関係の全側面について責任を持つ。UNHCRに広報官がいない場合、他の機関の報道担当者と密な連絡関係を築いておけば、一般的な助言を得たり、共同記者会見を開く際の助けとなる。

 

17. 緊急事態では、メディアはおそらく(多くの場合事前の通知なく)難民所在地に行き、現地のUNHCRフィールド職員から状況説明を受けようとする。この場合は、事実と実際の活動目標に限った説明をする。後でインタビューの心得を示す。

 

18. 特定の事件に報道機関の関心が集中することが予想される場合、まず最初は、短く簡潔な声明を作って質問者に配り、それ以上のコメントは避ける。

 

 

 

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